スズキ・X-90

スズキ X-90：異彩を放つクロスオーバーSUV

スズキX-90は、1990年代にスズキが製造・販売していた小型クロスオーバーSUVです。その独特なコンセプトとデザインは、当時の自動車業界において異彩を放ちました。

開発と市場投入

X-90は、1993年の東京モーターショーや欧州のモーターショーに参考出品車として登場しました。その斬新なスタイルは海外のユーザーから好評を得て、各国のディーラーからも市販化の要望が相次いだため、製品化に至りました。日本では1995年10月から1999年1月末まで販売されましたが、2ドア・2シーターのノッチバッククーペ型クロスオーバーSUVという特異なコンセプトが市場に受け入れられず、販売台数は伸び悩みました。日本国内での総販売台数は1,348台にとどまっています。

車名は開発コードネームをそのまま採用しています。日本では「エックスキュージュー」や「エックスキューマル」と呼ばれることもあります。

デザインと構造

X-90は、完全な2シーターで独立したトランクを持つノッチバッククーペスタイルを採用していますが、初代エスクードの2ドアモデルをベースとしています。ホイールベースも2,200mmと共通です。そのため、一般的な乗用車やクロスオーバーSUVに見られるモノコック構造ではなく、強度の高いラダーフレームが採用されています。

サスペンションもエスクードと同様で、前輪はマクファーソンストラットとコイルスプリング、後輪はセンターウィッシュボーン（センターAアーム）付きトレーリングリンク（トレーリングアーム）とコイルスプリングの組み合わせです。最低地上高はSUVとしては低めの160mmに設定されています。

エンジンと駆動方式

エンジンは、1.6L SOHC 16バルブ（100PS/14.0Kgm）のオールアルミ製G16A型ガソリンエンジンを搭載しています。駆動方式はパートタイム4WDで、5速MTと4速ATを選択できました。

特徴的な装備

X-90の大きな特徴の一つが、ワンタッチで脱着可能なグラスルーフを持つTバールーフ構造です。取り外した屋根は、専用カバーに入れてリアトランクに収納できます。ただし、リアウインドウは固定式で、脱着や収納はできません。トランクリッドには、ハイマウントストップランプを内蔵したリアスポイラーが標準装備されています。

シートはセミバケットタイプで、表皮には柄物のマリンカラーが採用されています。ただし、その他の内装部品にはエスクードからの流用部品も多く見られます。

ボディカラーは、当初はサターンブラックメタリックとアンタレスレッドのみでしたが、後にマーキュリーシルバーメタリックが追加されました。

まとめ

スズキX-90は、そのユニークなコンセプトとデザインで、自動車史に残る一台と言えるでしょう。商業的には成功しませんでしたが、その特異な魅力は今もなお、多くの自動車ファンを惹きつけています。

関連項目

スズキ (企業)
スズキ・エスクード
スズキ・カルタス

外部リンク

X-90レビュー（auto-web）

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