スタイミー

スタイミー：不屈の闘志を燃やした名馬

スタイミー (Stymie) は、アメリカ合衆国で活躍した競走馬です。その名前は「妨害物」「障害物」を意味し、彼の長く険しい、そして輝かしい競走生活を象徴しているかのようです。131戦ものレースを戦い抜き、デヴィルダイヴァー、アームド、アソールトといった、20世紀を代表する名馬たちと幾度となく激突しました。その活躍から「20世紀のアメリカ名馬100選」では41位にランクインする栄誉に輝いています。

遅咲きの才能：初期の苦戦と成長

1943年5月7日、ジャマイカ競馬場でのクレーミング競走がスタイミーのデビュー戦でした。血統的には大した期待されていなかった彼は、7番人気で7着という結果に終わります。その後も苦戦が続き、12頭立てのレースで11着になるなど、勝ち星からは程遠い日々が続きました。しかし、彼は毎週のようにレースに出走し続けました。地道な努力の末、デビューから3ヶ月後、14戦目のクレーミング競走で初勝利を掴みます。2～3歳時は57戦ものレースに出走するも、ステークス競走では勝利を手にすることができませんでした。それでも彼は走り続け、着実に実力をつけていきました。

4歳時からの活躍と名勝負：デヴィルダイヴァーとの死闘

4歳になり、スタイミーはグレイラグハンデキャップで念願のステークス競走初勝利を挙げます。勢いに乗った彼は、サバーバンハンデキャップで当時最強馬と謳われたデヴィルダイヴァーに挑戦。2馬身差で惜しくも2着に終わりますが、続くブルックリンハンデキャップでは軽ハンデを活かし勝利を収めます。この勝利は、デヴィルダイヴァーのニューヨークハンデキャップ三冠達成を阻止するという、大きな意味を持つものでした。得意の追い込みで着実に勝利を重ねていくスタイミーでしたが、ピムリコスペシャルステークスではアームドに敗れ、5歳時もアームドとの対戦では2着、3着と、惜しくも勝利を掴むことができませんでした。ブルックリンハンデキャップでもギャロレットとの接戦を制することができず、2着に終わります。しかし、ホイットニーハンデキャップでポリネシアン(ネイティヴダンサーの父) を破り勝利を収め、サラトガカップでは単走で勝利を収め、最強馬の一角としての地位を不動のものとしました。

アソールトとの壮絶な激闘：8度の直接対決

サラトガカップでの勝利の後、スタイミーはマンハッタンハンデキャップで2歳年下のアメリカ三冠馬アソールトと激突します。この出会いをきっかけに、スタイミーとアソールトは翌年のベルモントゴールドカップまで、実に8回にわたって直接対決することになります。その激戦の記録は以下の通りです。


この激闘は、両馬の強さを際立たせ、競馬史に名を刻む名勝負となりました。

晩年の活躍と引退

アソールトとの激闘後もスタイミーは走り続け、アケダクトハンデキャップではギャロレットに完勝します。しかし、11月に種子骨にヒビが入る怪我を負い、約半年の休養を余儀なくされます。7歳で復帰すると、メトロポリタンハンデキャップで勝利し、アケダクトハンデキャップではレコードで連覇を達成。しかしその後は徐々に力を落とし、10月1日のニューヨークハンデキャップを最後に引退しました。引退時の獲得賞金は91万8485ドルで、当時の新記録でした。

スタイミーは、決して恵まれた血統や体格を持っていたわけではありませんでしたが、並外れた粘り強さと闘志で数々の名勝負を繰り広げ、アメリカ競馬史にその名を刻んだ、まさに「不屈の闘志」を体現した名馬でした。彼の物語は、競馬ファンだけでなく、努力の大切さを教えてくれる感動的なものです。

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