スティングレイ (潜水艦)

スティングレイ (USS Stingray, SS-186)

スティングレイは、アメリカ海軍のサーモン級潜水艦の一隻で、アカエイ科のトビエイ目にちなんで命名されました。この名を持つ艦としては2隻目です。

艦歴

1936年10月1日にポーツマス海軍造船所で起工し、1937年10月6日に進水、1938年3月15日に就役しました。就役後はニューイングランドやカリブ海での訓練を経て、1939年1月には改修工事のため入渠。その後、カリブ海を経てパナマ運河を通過し、5月11日にサンディエゴに到着しました。サンディエゴでは第6潜水戦隊に加わり、訓練や艦隊演習に従事しました。

1940年4月にはハワイ海域での艦隊演習に参加、その後メア・アイランド海軍造船所でオーバーホールを受け、再びハワイに戻り作戦活動に従事しました。1941年10月23日にはフィリピンのカヴィテでアジア艦隊に加わります。12月7日の真珠湾攻撃時にはマニラに停泊していました。

第1、第2の哨戒 (1941年12月 - 1942年2月)

1941年12月11日、スティングレイは最初の哨戒でルソン島西部へ向かいます。リンガエン湾を哨戒中、日本軍の侵攻を目撃しましたが、弾薬不足のため攻撃はできませんでした。12月24日にマニラに帰投しますが、マニラは陥落寸前でした。艦長が交代し、12月30日には2回目の哨戒で海南島方面へ出撃します。

1942年1月10日、サマ湾で病院船「はるぴん丸」を撃沈しました。これはスティングレイにとって戦争における最初の戦果です。その後、ダバオ湾を哨戒しましたが敵との接触はなく、2月12日にはスラバヤに帰投。その後、フリーマントルへ移動しました。

第3、第4の哨戒 (1942年3月 - 1942年2月)

3月16日、3回目の哨戒でジャワ海方面へ。3月27日から28日にかけて、セレベス島沖で駆逐艦を発見し魚雷を発射しましたが、命中しませんでした。5月2日にフリーマントルに帰投。

5月27日、4回目の哨戒でフィリピン方面へ。ダバオ湾やサンベルナルジノ海峡を哨戒後、マリアナ諸島方面へ向かい、6月28日には特設砲艦「西京丸」を撃沈しました。7月15日に真珠湾に帰投し、改装工事で艦首方向の魚雷発射管を増設しました。

第5、第6、第7の哨戒 (1942年10月 - 1943年5月)

10月26日、5回目の哨戒でソロモン諸島方面へ。11月21日にはショートランド近海で特設水上機母艦「山陽丸」を撃破。12月20日に真珠湾に帰投し、艦長が交代しました。

1943年1月12日、6回目の哨戒でマーシャル諸島方面へ向かいますが、攻撃機会はありませんでした。3月8日に真珠湾に帰投。

4月2日、7回目の哨戒で東シナ海へ。機雷敷設任務も兼ね、4月21日、22日に温州沖に機雷を敷設。5月2日には輸送船「多聞丸」を撃沈し、5月17日に真珠湾に帰投しました。

第8、第9の哨戒 (1943年6月 - 10月)

6月12日、8回目の哨戒でカロリン諸島方面へ。成果はなく、7月31日にブリスベンに帰投しました。

8月23日、9回目の哨戒でアドミラルティ諸島方面へ。8月31日には友軍機の誤爆により損傷し、修理を余儀なくされました。10月10日に真珠湾に帰投し、オーバーホールのためメア・アイランド海軍造船所へ回航、艦長が交代しました。

第10の哨戒 (1944年3月 - 4月)

1944年3月10日、10回目の哨戒でマリアナ諸島方面へ。3月30日には輸送船「いくしま丸」を撃沈。4月8日には海中で大きな物体に衝突し、4月13日には敵潜水艦と思われる魚雷攻撃を受けました。4月22日に真珠湾に帰投しました。

第11の哨戒 (1944年5月 - 7月)

5月26日、11回目の哨戒でマリアナ諸島方面へ。この哨戒は救助任務が中心で、サイパンの戦いを支援しました。6月には複数の海軍パイロットを救助。グアム沖では、潜望鏡を使ってパイロットを救助する際、敵の沿岸砲台からの攻撃を避けながら接近しました。7月10日、マジュロに帰投しました。

第12の哨戒 (1944年8月 - 9月)

8月2日、12回目の哨戒でフィリピン方面へ。ルソン島にフィリピン軍士官や兵員、物資を上陸させる特別任務を遂行。8月31日には、軽巡洋艦「名取」の乗員を救助し、9月7日にダーウィンに帰投しました。

第13、第14、第15、第16、第17の哨戒 (1944年9月 - 1945年2月)

9月10日、13回目の哨戒でモルッカ海方面へ。上陸可能な海岸を探索し、9月19日にポートダーウィンに帰投しました。

9月21日、14回目の哨戒でフィリピン方面へ。物資の陸揚げや人員の上陸を行い、10月14日にブリスベンに帰投、艦長が交代しました。

12月6日、15回目の哨戒でフィリピン方面へ。1945年1月1日にはタウィタウィに貨物を陸揚げし、1月6日にミオス・ウンディ島に帰投しました。

1月11日、16回目の哨戒でセレベス海方面へ。2月1日にポートダーウィンに帰投。2月3日には17回目の哨戒に出撃し、沿岸監視員の派遣など複数の特別任務を遂行しました。2月23日にフリーマントルに帰投し、これが最後の哨戒となりました。

練習艦・戦後

3月16日にフリーマントルを出港し、パナマ運河を通過し、4月29日にニューロンドンに帰還。その後、練習艦として活動し、10月17日に退役しました。1946年7月3日に除籍され、翌年1月6日にスクラップとして売却されました。

スティングレイは、第二次世界大戦での功績により12個の従軍星章を受章。17回というアメリカ潜水艦最多の戦時哨戒を経験しました。

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