スティービー・レイ

スティービー・レイ：Harlem Heatの栄光と兄弟の確執

レーン・スティーブン・ハフマンとして1958年8月22日、テキサス州ヒューストンに生まれたスティービー・レイは、アメリカ合衆国を代表するプロレスラーの一人である。アフリカ系アメリカ人として、そのキャリアは兄弟であるブッカー・Tとのタッグチーム、Harlem Heatでの活躍によって多くの人に記憶されている。

1989年、イワン・プトスキーが主宰するテキサスのインディー団体で、スーパー・コライダーのリングネームでデビュー。その後、1991年にはダラスのグローバル・レスリング・フェデレーション（GWF）に移籍し、リングネームをスティービー・レイに変更。弟のブッカー・Tと共にエボニー・エクスペリエンスを結成し、ベビーフェイスとして活躍。GWFタッグ王座を3度獲得するなど、早くからその実力を証明した。1992年には日本にも遠征している。

1993年、スティービー・レイとブッカー・TはWCW（World Championship Wrestling）へ参戦。マネージャーにカーネル・ロバート・パーカーを迎え入れ、ヒールへと転向。ニューヨークのハーレム出身という設定のもと、チーム名をHarlem Heatへと改名した。その後、シスター・シェリーをマネージャーに迎え、1994年にはマーカス・バグウェル＆ザ・パトリオットからWCW世界タッグ王座を奪取。1997年までの間、Harlem HeatとしてWCW世界タッグ王座を幾度も獲得し、その名を世界に轟かせた。この間、1996年には新日本プロレスにも参戦している。

1997年秋、ミング＆ザ・バーバリアンとの試合で足首を負傷し長期欠場を余儀なくされる。その間にブッカー・Tはシングルプレイヤーとして成功を収める。復帰後、スティービー・レイは弟と袂を分かち、1998年にはハリウッド・ハルク・ホーガン率いるnWo（New World Order）に加入。nWoブラック＆ホワイトのリーダー格として活動した。

しかし1999年、ブッカー・Tの説得によりnWoを離れ、フェイスターン。Harlem Heatを再結成し、WCW世界タッグ王座に返り咲いた。同年10月に行われたPPV「Halloween Havoc 1999」ではトリプルスレットマッチを制し、10度目のWCW世界タッグ王座戴冠を果たすという偉業を達成した。

しかし、ブッカー・TがHarlem Heatのセコンドにミッドナイトを帯同し始めたことをきっかけに、兄弟間に再び亀裂が生じる。ミックスドマッチに敗れたスティービー・レイはヒールに戻り、ビッグ・Tを新たなパートナーに迎えHarlem Heat 2000を結成。Harlem Heatの名称使用権を巡り、実弟ブッカー・Tと激しい抗争を繰り広げた。悪徳弁護士のJ・ビッグスをマネージャーに迎え、入場テーマ曲やリングネームの変更をブッカー・Tに強要するなどしたものの、2000年3月のPPV「Uncensored 2000」で敗北。その後、Harlem Heat 2000は解散し、スティービー・レイは現役を引退。「WCW Thunder」のカラーコメンテーターに転身した。

WCW崩壊後の2001年にはオーストラリアのワールド・レスリング・オールスターズに参戦。2002年に現役を引退した。引退後は、2005年にブッカー・Tと共に地元ヒューストンにプロレスリング・アカデミー併設のインディー団体PWA（Pro Wrestling Academy）を設立。元WWEスーパースターのブギーマンもPWAでトレーニングを積んだ。

2019年4月6日、ブッカー・TとのHarlem HeatとしてWWE殿堂入りを果たした。スティービー・レイのキャリアは、兄弟との複雑な関係性と、その圧倒的なタッグチームとしての成功、そしてプロレス界への多大な貢献によって彩られた、まさに伝説的なものである。

得意技:

110thストリート・スラム
スラップジャック
ベアハッグ
バックブリーカー
フライング・クローズライン

獲得タイトル:

GWF北米ヘビー級王座（1回）
GWFタッグ王座（3回、w/ ブッカー・T）
WCW世界タッグ王座（10回、w/ ブッカー・T）
* WWE殿堂 (2019年、Harlem Heatとして)

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