ステファン・ネマニッチ (セルビア王)

ステファン・ネマニッチ：セルビア王国初代の王

ステファン・ネマニッチ（1165年頃 - 1228年9月24日）は、セルビア王国の初代の王であり、「ステファン初代戴冠王」として知られています。彼は、セルビアを王国へと昇格させ、弟である聖サヴァが設立したセルビア正教会を支援したことで、ネマニッチ朝において最も重要な君主の一人とされています。

生い立ちと王位継承

ステファン・ネマニッチは、ラシュカ侯ステファン・ネマニャとアナスタシアの次男として生まれました。兄ヴカンはゼタとその周辺地域を統治し、末弟ラストゥコ（後の聖サヴァ）はフムを統治していました。

1186年、ステファンはビザンツ皇帝アレクシオス3世アンゲロスの娘エウドキア・アンジェリナと結婚しましたが、後に離婚しています。1196年、父ネマニャは退位し、ステファンを後継者に指名しました。しかし、これは長子相続の原則に反するものであり、兄ヴカンは王位継承を主張し、対立が勃発しました。

兄ヴカンとの対立

ヴカンはハンガリー王イムレの支援を受け、1202年にステファンを追放し、自身がセルビア王位に就きました。ステファンはブルガリアに亡命しましたが、1204年に帰国し、ヴカンを打ち破って王位を奪還しました。1205年末から1206年初頭にかけて、聖サヴァがアトス山から帰国し、兄弟の仲介を行い、和睦が成立しました。

ブルガリアとの対立

ステファンは、ブルガリアの帝位を巡る争いに介入し、亡命してきたブルガリアの貴族ストレスを支援しました。これに対し、ブルガリア皇帝ボリルはステファンの要求を拒否し、両国間の対立が激化しました。

親族との争い

フムを統治していた叔父アンドリヤに対し、貴族が反乱を起こし、アンドリヤはステファンに保護を求めました。ステファンは親征を行い、反乱を鎮圧し、アンドリヤをフムの統治者として復帰させました。また、ゼタを巡っては、ヴカンの子ジョルジェがヴェネツィア共和国に臣従を誓い、独立を試みましたが、ステファンは軍事力によってゼタを支配下に置きました。

セルビアの政治・宗教的独立

1217年、ステファンはローマ教皇ホノリウス3世から王号を認められ、「全セルビアの王」として戴冠されました。また、弟サヴァはセルビア正教会の大主教に任命され、セルビアは政治・宗教の両面で独立を達成しました。サヴァはセルビア初の憲法である『聖サヴァのノモカノン』を公布し、法制度を整備しました。

晩年

晩年、ステファンは修道士となり、シメオンと改名しました。没後、教会によって列聖されています。

ステファン・ネマニッチは、セルビアを王国として確立し、政治・宗教的な独立を達成した傑出した君主でした。彼の治世は、セルビアの歴史において重要な転換期であり、その遺産は後世にまで受け継がれています。

家族

父母
ステファン・ネマニャ
アナスタシア
妻子
妻：エウドキア・アンジェリナ
ステファン・ラドスラヴ
ステファン・ヴラディスラヴ
サワ
コムネナ
妻：アンナ・ダンドロ
ステファン・ウロシュ
娘

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