スバル・エルテン

スバル・エルテンとその関連コンセプトカー

スバル・エルテン（SUBARU ELTEN）は、1997年に富士重工業（現・スバル）が発表した革新的なハイブリッド四輪駆動のハッチバック車です。このモデルは、スバル・360をモチーフにしたデザインが特徴で、その名は「エレクトリック（電気）」とスバル・360の愛称である「てんとう虫」を組み合わせた造語です。

エルテンは、1997年の東京モーターショーに登場し、そのユニークな構造で観客の注目を集めました。この車両は、運転席側に1つ、助手席側に2つのドアを持ち、合計で3つのドアを備えています。エルテンのパワートレインは、特別な構造を持っており、プロペラシャフトの途中に配置された電動機が1基搭載された1モーターハイブリッド方式を採用しています。また、エンジンは横置きフロントエンジンの四輪駆動レイアウトを採用しており、変速機にはCVT（電子制御無段変速機）を使用しています。

これにより、エルテンはエネルギー効率に優れ、走行中のエネルギー回生の能力も持っています。具体的には、モーターの最大出力は41 PSで、制動時にエネルギーを回収する仕組みとなっています。エンジンは直列4気筒SOHCの658 ccガソリンエンジンで、最高出力は46 PS、最大トルクは5.8 kgf·mです。さらに、マンガンリチウム電池とコンデンサバッテリを搭載し、駐車時には天井に配置された太陽光パネルからコンデンサバッテリに充電される仕組みになっています。

エルキャパ（1995年）

エルテンと同様に注目を浴びたモデルとして、1995年に発表されたエルキャパ（ELCAPA）があります。このコンセプトカーは、プラグインハイブリッドとして設計され、エルテンと同じくプロペラシャフトの途中に電動機（最大出力19 kW）を1基搭載した1モーターハイブリッド方式を採用しています。エンジンは横置きのフロントエンジン四輪駆動レイアウトで、ビスカス式フルタイム四輪駆動が特徴です。エルキャパは、密閉型鉛蓄電池とコンデンサバッテリを装備し、外部100 V電源から充電が可能です。エンジンは直列4気筒SOHCの800 ccで、最大出力は64 PSでした。興味深いことに、エルキャパのデザインは後にスバル・プレオの原型となり、製品化への道筋を作りました。

エルテンカスタム（1999年）

さらに進化したエルテンのバリエーションとして、1999年に東京モーターショーに出展されたエルテンカスタム（ELTEN CUSTOM）があります。このモデルは、軽自動車のプレオを基にしたボディデザインが特徴で、駆動用と充電用の2つのモーターを搭載した点がエルテンとの大きな違いです。エルテンカスタムは、シリーズハイブリッドモードとパラレルハイブリッドアシストモードの両方を使用し、効率的に駆動します。使用される電池はニッケル水素電池であり、10・15モード燃費は優れた33.0 km/Lを実現しています。

これらのコンセプトカーは、スバルの技術力と未来志向の姿勢を象徴するもので、環境に配慮した移動手段の重要性が増す現代において、今なお色あせることのない価値を持っています。

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