紀元前460年

紀元前460年：古代世界の激動と文化の開花

紀元前460年は、古代世界において数々の重要な出来事が発生した年として歴史に刻まれています。地中海世界では、政治的・軍事的な紛争が頻発し、一方、ギリシアでは芸術文化が大きく発展しました。この年は、西暦紀元を基準とした現代の表記ですが、当時の人々はこの年を、共和政ローマで執政官にポプリコラとサビヌスが就任した年として認識していたと考えられます。

政治と戦争

エジプトでは、アケメネス朝ペルシアの支配に対する反乱が勃発しました。反乱の指導者イナロス2世はアテナイに支援を要請、アテナイはこれを貿易権獲得の条件付きで承認し、艦隊を派遣しました。この支援は、ペルシアのサトラップアケメネスを破る結果に繋がり、アケメネスは戦死しました。

ギリシアでは、アテナイ、メガラ、アルゴスの同盟とスパルタ率いるペロポネソス同盟との間で、第一次ペロポネソス戦争が勃発しました。アテナイはメガラに長大な防衛壁を建設、これによりコリントスの反感を買います。また、アルゴスのスパルタに対する反乱にもアテナイが加担し、スパルタ軍はアテナイ・アルゴス連合軍に敗北を喫しました。

ローマでは、パトリキとプレブスの対立が激化し、奴隷反乱も発生。カンピドリオが占拠される事態となりましたが、援軍によって反乱は鎮圧されました。しかし、この混乱の中で執政官プブリウス・ウァレリウス・プブリコラが戦死するという悲劇も起こっています。

文化と芸術

紀元前460年は芸術文化においても重要な年でした。

アテナイのアゴラでは、タソス島の画家ポリュグノトスが彩られた柱廊を装飾しました。
彫像『Young Warrior』の制作が始まり、およそ10年後に完成。現在、レッジョ・ディ・カラブリア国立考古学博物館に収蔵されています。
オリンピアのゼウス神殿では、西ペディメントに『Apollo with battling Lapiths and centaurs』、フリーズにメトープのレリーフ『Athena, Heracles and Atlas』が制作されました。これらの作品は現在、オリンピア考古学博物館に収蔵されています。
アポローンの彫像も制作され、現在、その脚の一部はルーヴル美術館、頭部はイギリス博物館に収蔵されています。

誕生と死

この年には、後に歴史に名を残す多くの偉人が誕生しました。

デモクリトス: ギリシアの哲学者（紀元前370年没）
ヒポクラテス: ギリシアの医師（紀元前377年没）
トゥキディデス: ギリシアの歴史家（紀元前395年没）

一方、著名な人物の死も記録されています。

エピカルモス: ギリシアの詩人（紀元前550年生）
パーニニ: インドの言語学者（紀元前520年生）
テミストクレス: アテナイの政治家、海軍戦略家（紀元前525年生）
アケメネス: ペルシアのサトラップ
プブリウス・ウァレリウス・プブリコラ: 共和政ローマの執政官

その他の紀年

この年は、様々な紀年法で以下のように表記されます。干支では辛巳、日本の皇紀では201年、中国では周、秦、晋、楚、斉、燕、趙など各諸侯国の独自紀元が用いられ、朝鮮では檀紀1874年、ベトナムでは仏滅紀元85年、ユダヤ暦では3301年から3302年とされています。

紀元前460年は、戦争と反乱、そして芸術文化の隆盛が複雑に絡み合った、古代世界における重要な転換期であったと言えるでしょう。

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