スプリガン mark2

スプリガン mark2 Re-Terraform Project

1992年5月1日、日本のナグザットからPCエンジンSUPER CD-ROM2向けにリリースされた横スクロールシューティングゲームです。前作『精霊戦士スプリガン』の続編として開発されましたが、ゲームシステムは前作の縦スクロールから大きく変更され、横スクロールへと進化しています。物語の舞台は、人口過密となった地球人類が火星への移住を試みる「テラフォームプロジェクト」によって引き起こされた、地球と火星の間の激しい戦争。プレイヤーは主人公「グレッグ」を操縦し、この星間戦争を終結させることを目指します。

開発はコンパイルが担当し、プロデューサーは「アレスタシリーズ」で知られる仁井谷正充氏。企画、脚本、ゲームデザイン、プログラムはテクノソフトの『ヘルツォーク』を手掛けた外山雄一氏が担当しました。音楽はPCエンジン版『ガンヘッド』の竹内啓史氏、そしてビジュアルシーンの絵コンテには元聖飢魔IIのゾッド星島氏が参加するなど、著名なクリエイターが集結しています。

ゲームシステム

本作は、一般的な横スクロールシューティングの形式を取りながらも、前作とは異なるゲーム性を確立しています。ストーリー上の直接的な繋がりは薄いものの、世界観は継承。しかし、前作のファンタジーSFテイストから一転、日本のリアルロボットアニメを彷彿とさせるハードSF色の強い設定とストーリー展開が特徴です。PCエンジンCD-ROM2の大容量を活かしたビジュアルデモや、多数の著名声優によるキャラクターボイスが大幅に強化され、物語への没入感を高めています。

ゲームプレイ中には、リアルタイムでキャラクターたちの会話シーンが挿入されます。この会話には膨大な量のボイスオーバーが収録されており、プレイヤーはまるでロボットアニメを視聴しているかのような臨場感あふれるストーリー体験ができます。自機「アームドアーマー」を操作して敵を撃破していくのが基本ですが、これらのドラマチックな演出がゲームの随所に織り込まれています。

自機はダメージ制を採用しており、敵の攻撃を受けると画面左下のシールドゲージが減少します。ゲージがゼロになるとゲームオーバーとなりますが、被弾しなければ徐々に回復するシステムになっています。使用できる機体は、序盤の量産機「バーソロミュー」では固定武装ですが、中盤以降に搭乗する主役機「スプリガンmark2」では、ステージ開始前に複数の武装パックから選択可能になります。これらの武装パックはストーリーの進行と共に種類が増え、最終的にはA装備からF装備まで合計6種類の中から選べるようになります。

本作は全体的に難易度が高めに設定されており、さらに真のエンディングを見るためには、ゲームを「ハードモード」でクリアする必要があるという、当時のプレイヤーにとっては挑戦的な仕様となっています。

設定とストーリー

物語は、天暦47年の地球から始まります。爆発的な人口増加により地球は飽和状態となり、人類は宇宙への活路を求め、比較的環境が近い火星への移住計画「テラフォームプロジェクト」を開始します。火星は新たな楽園となるはずでした。しかし、世界を二分する二大国、A国とS国は、火星においても領土拡大を目指し、国境付近で小競り合いを繰り返していました。

天暦92年4月、A国軍のアームドアーマーパイロットである主人公グレッグは、火星での戦力増強と新型機「スプリガン」のテストのために現地に派遣されます。しかし、突如味方機からの攻撃を受け、撤退を余儀なくされます。この事件を機に、地球上の争いを火星に持ち込む行いや、強引な移民計画に不満を募らせていた火星の住民たちが団結。「火星連合政府」を設立します。こうして、A国とS国の対立は、「地球」対「火星」という惑星間戦争へと激化していくのでした。グレッグは、この激動の渦の中で、自身の戦いと直面していきます。

主要キャラクター

主人公サイド

グレッグ・アーウィン（声：矢尾一樹）：A国軍のパイロットで本作の主人公。腕は確かですが、時に型破りな行動をとります。搭乗機はバーソロミュー、後にスプリガンmark2。
コンロッド・マイヤー（声：梅津秀行）：グレッグの親友。温厚な性格で、冷静な判断力を持つパイロットです。搭乗機はバーソロミュー。
カニンガム（声：堀秀行）：グレッグたちの部隊の隊長（大尉）。指揮能力に加え、パイロットとしての腕前も一流です。搭乗機はバーソロミュー系や量産型スプリガン「スピリッツ」。

火星連合政府サイド

初期にS国側から離反し、火星連合政府の軍人としてグレッグたちの前に立ちはだかります。

マービィ・ドナヒュー（声：塩沢兼人）：グレッグのライバル的な存在。特にハードモードクリア時の追加ステージでは「真のラスボス」として登場します。
ミネルバトン・ライナグラム（声：冬馬由美）
ジャーバス・ドルトムント（声：掛川裕彦）

登場メカニック

バーソロミュー：A国軍の主力アームドアーマー。汎用性が高く、グレッグも序盤搭乗します。
スプリガンmark2：ゲーム中盤からの主人公機。月面で開発された最新鋭機で、スプリガンをベースに大幅改修されています。高い運動性と、武装パックによる換装システムが特徴。ストーリー進行に応じてA～F装備が追加されます。
スプリガン：A国軍の次期主力試作機。高性能ですが、物語序盤でマービィたちに強奪され、彼らの愛機となります。
ラグナブル：火星軍の巨大アームドアーマー。通常の数倍のサイズを持ち、ジャーバスが搭乗します。
* ソロウェイ：S国軍の主力機。火力・耐久力が高く、スプリガン開発の対抗目標となった高性能機です。

開発の裏側と移植

企画初期段階では、開発元のコンパイルが過去にメガドライブ向けに発売した『武者アレスタ』と世界観を共有する続編として構想されていたことが、同社の広報誌『コンパイルニュース』で明かされています。この初期案では、本作の主人公グレッグは『武者アレスタ』のキャラクターと同一人物とされ、ライバルも『武者アレスタ』のキャラクターが予定されていましたが、製品版ではマービィに変更されるなど、構想から大きな変化がありました。

本作は後に、2009年にWiiのバーチャルコンソール向けに配信されました。バーチャルコンソール版では、一部デモシーンの演出にオリジナル版との差異が見られます。

当時の評価

ゲーム誌のクロスレビューでは、『ファミコン通信』で21/40点、『月刊PCエンジン』で平均78/100点、『マル勝PCエンジン』で30/40点と、概ね良好な評価を得ました。『PC Engine FAN』の読者投票「ゲーム通信簿」では22.42/30点を獲得し、PCエンジン全ソフト中132位（1993年時点）にランクインしています。当時の媒体では、シューティングパート中に画面下に表示されるキャラクターメッセージや、ボイスと連動した画面の変化といった演出面が特に評価されており、リアルロボットアニメのようなドラマチックなストーリーを楽しめる点が本作の魅力として挙げられていました。

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