スペース・ロック

スペース・ロックは、サイケデリック・ロックから派生した、エコーやリバーブを多用した幻想的で空間的なサウンドを特徴とするロック音楽のジャンルです。1960年代後半から1970年代にかけて、主にイギリスで活動したミュージシャンたちがこのスタイルを確立しました。

スペース・ロックの起源

スペース・ロックのルーツは、1960年代後半に登場したサイケデリック・ロックにあります。特に、ピンク・フロイドのデビューアルバム『夜明けの口笛吹き』には、すでにスペース・ロック的な要素が見られます。続くセカンドアルバム『神秘』では、SF的な歌詞の世界観が強まり、よりスペース・ロックとしての性格を鮮明にしました。デヴィッド・ボウイもこの流れに続き、宇宙をテーマにした楽曲を発表しました。

スペース・ロックの歴史において重要な作品として挙げられるのが、1972年にホークウインドが発表したライブアルバム『スペース・リチュアル（宇宙の祭典）』です。このアルバムは、彼らのライブパフォーマンスの魅力を凝縮したもので、スペース・ロックというジャンルを代表する作品の一つとされています。また、ジェネシスのアルバムにも、スペース・ロック的な楽曲が含まれています。

これらのアーティストたちは、電子オルガンやシンセサイザーなどの電子楽器を積極的に導入し、インストゥルメンタルパートで空間的な音響を作り出すとともに、SF的なテーマの歌詞を歌いました。これらの要素が組み合わさることで、リスナーを宇宙旅行へと誘うような、独特の世界観が生み出されました。

1980年代以降の展開

1980年代以降になると、マジック・マッシュルーム・バンドやオズリック・テンタクルズといったバンドが、ドラッグの影響を感じさせるようなサイケデリックなサウンドを奏で、スペース・ロックの系譜を継承しました。また、オルタナティヴ・ロックのシーンでも、スロウダイヴ、ライド、ザ・ヴァーヴ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、フライング・ソーサー・アタック、スペースメン3、スピリチュアライズドなど、シューゲイザーやドリーム・ポップと称されたバンドたちが、アンビエント的なサウンドを追求する中で、スペース・ロックと関連付けられるようになりました。

これらのバンドは、従来のスペース・ロックのサウンドに、ノイズやフィードバックなどの実験的な要素を加え、より多様なサウンドを生み出しました。また、アメリカではストーナーロックにカテゴライズされたバンドの一部が、その酩酊感を誘う音楽性から、スペース・ロックとして扱われることもあります。

スペース・ロックは、その独特なサウンドと世界観で、多くのアーティストに影響を与え続けています。現在でも、このジャンルに影響を受けた新しいバンドが登場し、新たなサウンドを生み出しています。

主な楽曲

「シルバー・マシーン」 ホークウインド
「スペース・オディテイ」 デヴィッド・ボウイ
「シー・エミリー・プレイ」 ピンク・フロイド

主なアーティスト

サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ
Acid Mothers Temple
アモン・デュールII
エンジェルズ・アンド・エアウェーブズ
アシュ・ラ・テンペル
バビロン・ズー
ブライアン・イーノ
クラスター
デヴィッド・ボウイ
ザ・チャーチ
コズミック・ジョーカーズ
フレイミング・ユース
ゴング
ホークウインド
ピンク・フロイド

関連項目

ヒッピー
アンビエント
* シンセサイザー

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