スペースX CRS-11

「SpX-11」とも呼ばれるスペースX CRS-11ミッションは、国際宇宙ステーション（ISS）への物資輸送を担う商業補給サービス（CRS）ミッションです。これは、NASAが商業補給サービス計画の一環としてスペースX社と結んだ契約に基づいて実施されました。2017年6月3日に打ち上げられ、特にドラゴン宇宙船を初めて再使用した点が注目されました。

このミッションは、スペースXがNASAから受注した最初の12回のISS商業補給任務の最後から2番目にあたります。CRS-11では、ファルコン9ロケットが使用され、搭載されたドラゴン貨物宇宙船「C106」は、以前のCRS-4ミッションですでに宇宙飛行を経験した機体でした。ドラゴン宇宙船の再使用の成功は、スペースXが新型のドラゴン2開発に注力し、従来の宇宙船製造ラインを縮小する方針を後押しする出来事となりました。

CRS-11の打ち上げは、フロリダ州のケネディ宇宙センター第39発射施設パッドAから、2017年6月3日協定世界時（UTC）21時07分38秒に行われました。打ち上げ後、ドラゴン宇宙船はISSへ向かい、2017年6月5日にランデヴー軌道に入りました。その後、ISSと速度、高度、方位を正確に一致させるための一連の軌道制御噴射が実施されました。宇宙船は13時37分UTCにISSの捕捉ポイントに到達し、ISS搭乗員であったペギー・ウィットソン氏とジャック・フィッシャー氏が操作するカナダアーム2によって、13時52分UTCに無事捕捉されました。捕捉されたドラゴンは、同日16時07分UTCにISSのハーモニーモジュールにドッキングされました。

CRS-11の打ち上げに使用されたファルコン9ロケットの第1段は、大気圏再突入を経て、ケープカナベラル空軍基地の着陸ゾーン1（LZ-1）へ安全に着陸しました。これはスペースXにとって、ファルコンロケットの第1段の地上への着陸が11回成功したことを意味します。

ISSにドッキングしていたCRS-11ドラゴンは、27日以上にわたって滞在しました。地球への帰還時には、およそ2,708キログラム（約5,970ポンド）の物資を搭載していました。ISSとのドッキング解除は、2017年7月2日18時00分UTC頃に行われました。カナダアーム2によって宇宙船はリリース位置に移されましたが、当初予定されていた回収海域の気象条件が悪かったため、宇宙船の最終的なリリースは翌日に延期されました。翌日、2017年7月3日06時41分UTCに、クルーからのコマンドを受けてカナダアーム2からリリースされ、ドラゴンはISSから離れるためのスラスタを噴射し始めました。ISSから出発して約5時間後、ドラゴン宇宙船は航法誘導制御（GNC）ベイのハッチを閉じ、地球への帰還に向けた約10分間の軌道離脱噴射を実行しました。軌道離脱噴射の直後に、非与圧のトランク部分を分離し、大気圏への再突入経路に入りました。CRS-11ドラゴンカプセル本体は、2017年7月3日12時12分UTCに、メキシコのバハ・カリフォルニア半島沖の太平洋上に無事着水し、ミッションを完了しました。

このCRS-11ミッションでISSへ届けられた貨物の内容は、NASAが決定しました。総計2,490キログラム（約5,490ポンド）の貨物が搭載され、これにはISS船内での活動や実験に必要な与圧貨物1,665キログラム（約3,671ポンド）と、ISS船外に設置される機器などの非与圧貨物1,002キログラム（約2,209ポンド）が含まれていました。

与圧貨物の主な項目は以下の通りです。

科学調査関連：1,069キログラム（約2,357ポンド）。ISSでの植物研究を自動で行う「Advanced Plant Habitat（APH）」などが含まれました。
乗組員補給品：242キログラム（約534ポンド）。
宇宙船用ハードウェア：199キログラム（約439ポンド）。
船外活動（EVA）用装備：56キログラム（約123ポンド）。
コンピューター関連資材：27キログラム（約60ポンド）。

ISSの外部に設置された非与圧貨物としては、以下のような機器がありました。

伸展式太陽電池アレイ（ROSA）：325キログラム（約717ポンド）。
中性子星内部構成探査装置（NICER）：372キログラム（約820ポンド）。
地球観測のためのマルチユーザーシステム（MUSES）：305キログラム（約672ポンド）。

また、このミッションでは「Birds-1」計画に関連して、日本、ナイジェリア、バングラデシュ、ガーナ、モンゴルからそれぞれ提供された小型衛星（CubeSat）も搭載されました。特にバングラデシュ、ガーナ、モンゴルのCubeSatは、それぞれの国にとって初の人工衛星となる歴史的なものでした。

スペースX CRS-11ミッションは、ドラゴン宇宙船の再使用という技術的な進歩を実証し、ISSへの重要な科学機器や物資の輸送を成功させた、商業宇宙開発における重要な一歩となりました。

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