スモリャン

スモリャン：歴史と自然が織りなすブルガリアの山岳都市

スモリャン（ブルガリア語: Смо̀лян）は、ブルガリア南部のスモリャン州に位置する州都です。西ロドピ山脈のゴリャムペレク山の東麓に広がり、アルダ川の支流であるチェルナ川の渓谷に市街地が形成されています。ギリシャとの国境に近いこの地域は、山岳リゾート地として知られ、多くの観光客が訪れます。2011年の調査では、人口は約3万人を数えます。

名称の由来

スモリャンの名前は、この地に居住していたスラヴ民族の一派であるスモリャニ族に由来します。スモリャニ族の名前は、スラヴ語で「樹脂」を意味する「smola」から来ていると考えられています。また、南極大陸のリヴィングストン島にあるスモリャン・ポイントは、このスモリャンにちなんで名付けられました。

古代からの歴史

スモリャン地域には、紀元前13世紀の青銅器時代末期から人類が居住していたと考えられています。紀元前9世紀の遺跡や、7世紀から9世紀にかけて建てられた初期のバシリカ教会の遺跡も発見されており、この地の歴史の古さを物語っています。

スラヴ人侵入後、スモリャンは第一次ブルガリア帝国、東ローマ帝国、そして第二次ブルガリア帝国によって統治されました。14世紀には、ロドピ山脈一帯を支配していた封建君主モムチルの支配下にありました。1372年、スモリャンはオスマン帝国に征服され、16世紀にはスルタン・セリム1世の時代に宮廷医アハ・チェレビに与えられ、「アハチェレビ」と呼ばれるようになりました。その後、17世紀にはエゼロヴォ、バシュマクラ、パシュマクラと名前を変遷しました。

1912年、第一次バルカン戦争中にオスマン帝国の支配から解放され、1934年にはパシュマクラから再びスモリャンに改称されました。1960年には、チェルナ川沿いのスモリャン、ライコヴォ、ウストヴォの3つの町が合併し、現在のスモリャン市が誕生しました。

人口と民族構成

第二次世界大戦直後、スモリャンの人口は約5000人でしたが、周辺地域からの移住により増加し、1990年代初頭には34,000人を超えました。2011年の国勢調査によると、スモリャンの民族構成は以下のようになっています。

- ブルガリア人：25,045人（97.0%）
- ロマ系ブルガリア人: 258人（1.0%）
- トルコ系ブルガリア人：153人（0.6%）
- その他：120人（0.5%）
- 不明：248人（1.0%）
- 無回答：4818人（15.7%）
- 合計：30,642人

気候と経済

スモリャンは、大陸性気候と地中海性気候の両方の影響を受けています。東から吹く暖かく湿った風の影響で、夏は比較的涼しく、冬は温暖ですが降雪量が多いのが特徴です。

18世紀から19世紀にかけて、この地域では繊維、衣類、木材、家具、銅細工、金細工などの製品が盛んに生産されていました。現代においても、機械器具、食品加工、木材、繊維などの工場が稼働しており、北部の炭田では歴青炭が産出されています。Viastroy-engineeringやDiulgerといった企業が建設分野で活動していますが、労働者の多くはアパレルや繊維産業に従事しています。また、林業も盛んで、環境に配慮した伐採が行われています。さらに、ウィンタースポーツやスモリャン湖周辺の自然公園整備も進められています。

教育と文化

スモリャンは地域の教育の中心地であり、プロヴディフ大学の教育学部や高等学校、専門学校が設置されています。近郊にはロジェン天文台があり、ブルガリア最大のプラネタリウムも併設されています。19世紀以降の経済成長に伴い、劇場や博物館、多くの教会が建てられました。ロドピ劇場では毎年「ロドピ国際演劇実験室」が開かれ、ストユ・シシコフ地方歴史博物館ではロドピ地方に関する豊富な展示品が公開されています。

スポーツと建築

スモリャンはウィンタースポーツの伝統が長く、近郊のパムポロヴォはスキーリゾートとして人気があります。また、PFCロドハ・スモリャンというサッカークラブの本拠地でもあります。ライコヴォ地区のチェシツカ・マハラ保存区には、1835年以降に建てられた独特の「兄弟家屋」が残っており、1873年に建てられたギョルジェフ家の邸宅は現在、ハンガリーの詩人ラースロー・ナジの博物館となっています。

交通と姉妹都市

スモリャン市内には自動車道が通っていますが、鉄道駅はなく、最寄りの駅は80km以上離れたアセノヴグラト駅です。

スモリャンは、以下の都市と姉妹都市・協定都市関係を結んでいます。

- ヴォル（エストニア）
- エイラート（イスラエル）
- カルーガ（ロシア）
- キシュペスト（ハンガリー）
- 許昌市（中華人民共和国）
- クサンティ（ギリシャ）
- コントログエッラ（イタリア）
- スウツク（ベラルーシ）
- ズール（ドイツ）
- ノヴィ・ソンチ（ポーランド）
- バルツィ（モルドバ）
- ポリ（フィンランド）
- マルティンシクーロ（イタリア）

スモリャンは、自然と歴史が調和した魅力的な都市であり、多くの観光客がその美しい景観と豊かな文化を求めて訪れています。

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