紀元前9世紀

紀元前 9[[世紀]]：世界各地で興亡と交流が交錯した時代

紀元前 9[[世紀]]（西暦前900年から西暦前801年）は、世界各地で文明の興亡や文化交流が盛んに行われた時代です。鉄器時代における寒冷期の影響を受けながらも、新たな文明が誕生し、既存の勢力図は戦争や政治的変動によって大きく変化しました。

鉄器時代と文明の動向

紀元前900年頃からの鉄器時代の寒冷期は、農作物への影響などを通して人々の生活に大きな変化をもたらしました。この時代、メキシコ湾岸のオルメカ文明の中心地は、サン・ロレンソ・テノチティトランの破壊を機にラ・ベンタへと移ります。一方、イベリア半島では、ガリシア地方からポルトガルにかけてカストロ文化が栄え、イタリアではヴィラノーヴァ文化が発展しました。

これらの地域では、交易路を通じて他の地域との交流が盛んに行われていました。「琥珀の道」を通じて中央ヨーロッパのハルシュタット文化やウルネンフェルト文化と交流が見られたことは、この時代の国際的な繋がりの活発さを示しています。ギリシャのエウボイア島で作られた「レフカンディのケンタウロス」や、中国陝西省で出土した虎型青銅器は、当時の高度な芸術技術を物語る貴重な遺物です。

日本列島では、縄文時代晩期から弥生時代後期にあたるこの時代に、福岡県板付遺跡で水田跡や木製農機具などの出土が確認されています。灌漑施設や環壕集落の存在は、当時の社会構造や農業技術の進歩を示唆しています。

西アジアにおける政治変動

西アジアでは、アッ[[シリア]]帝国、イスラエル王国、そして周王朝において政治的な変動が頻発しました。アッ[[シリア]]では、アッシュル・ナツィルパル2世が都をカルフ（ニムルド）に移転。シャルマネセル3世の治世下では、カルカルの戦いでシリア諸国同盟軍と激突するなど、周辺諸国との勢力争いが激化しました。

イスラエル王国では、オムリ王によるサマリアへの遷都や、アハブ王の時代にシリア王女イゼベルとの結婚をきっかけにバアル神信仰が流入するといった出来事が起こっています。バアル神崇拝への反対者として知られる預言者エリヤは、『列王記』にその名が記されています。また、メシャ碑文はモアブの独立を伝える重要な史料であり、この時代の歴史を理解する上で貴重な情報源となっています。

東アジアにおける周王朝の動乱とその後

中国の周王朝では、厲王の時代に政治的混乱が続き、厲王は国人に追放されて亡命、その後の共和政治を経て、宣王が即位し、王朝の再興を図りました。この時代の出来事としては、斉の政変や、宣王治世における尹吉甫や毛公、虢季子白といった重臣の活躍などが挙げられます。これらの出来事を記念して作られた青銅器は、現代においても貴重な歴史資料として残っています。

その他地域の出来事

北アフリカでは、フェニキア人によってカルタゴが建設され、地中海世界におけるフェニキア人の勢力が拡大しました。ウラルトゥ王国では、サルドゥリ1世によるトゥシュパ（ヴァン）への遷都が行われ、地中海世界における地政学的状況も変化していきました。