スライマーン・イブン・クタルミシュ

スライマーン・イブン・クタルムシュは、11世紀にルーム・セルジューク朝を創始した人物です。彼はセルジューク朝の創始者であるトゥグリル・ベグの親族にあたり、その父はミーカーイールの兄弟であるアルスラーン・イスラーイール・イブン・セルジュークの息子、クタルミシュ・イブン・アルスラーン・イスラーイールでした。

1063年、トゥグリル・ベグが後継者を残さずに亡くなると、クタルミシュは後継者の地位を求めてアルプ・アルスラーンと争いましたが、敗れて殺害されます。スライマーンは父の争いに連座しなかったものの、セルジューク家の王族とは見なされなくなりました。

しかし、アルプ・アルスラーンの後を継いだマリク・シャーは、アナトリア地方に勢力を拡大していたテュルクメン人を統制するために、スライマーンを送り込みます。1074年または1075年、スライマーンは東ローマ帝国領であったニカエアを占領し、これを拠点として領土を拡大していきます。その後、彼は東方へと進出し、宗主であるマリク・シャーに対抗する姿勢を見せるようになります。

1084年12月にはシリア北部のアンティオキアを征服するなど、マリク・シャーの意向を無視した独立行動を繰り返しました。しかし、このシリア征服がマリク・シャーと、彼の弟でシリア・セルジューク朝を率いていたトゥトゥシュの怒りを買うことになります。

1086年6月、スライマーンはアレッポの支配権を巡り、トゥトゥシュとの間で戦いを繰り広げ、その結果、敗れて命を落としました。彼の死後、息子のクルチ・アルスラーン1世はマリク・シャーに捕らえられ、ルーム・セルジューク朝は一時的に断絶することになります。しかし、6年後にマリク・シャーが亡くなると、クルチ・アルスラーン1世は復権し、ルーム・セルジューク朝は再興を果たすことになります。

スライマーン・イブン・クタルムシュの生涯は、セルジューク朝内部の権力闘争と、アナトリア半島における領土拡大の歴史を象徴しています。彼は、セルジューク朝から独立して自らの王朝を築き上げようとしましたが、最終的には内紛によって命を落としました。しかし、彼の築いた基盤は後のルーム・セルジューク朝の発展に大きく貢献しました。

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