スラヴァ級ミサイル巡洋艦

スラヴァ級ミサイル巡洋艦

スラヴァ級ミサイル巡洋艦（1164型）は、ソビエト連邦の海軍において1970年代に開発された特異な艦級です。この艦級は、対潜戦闘に重きを置いていたソ連海軍が、対水上戦に転向する中で誕生した画期的な巡洋艦です。ソ連海軍では「アトラント」としても知られ、仮想敵である空母機動部隊に対抗する能力を持つ艦艇として設計されました。

来歴

1971年、セルゲイ・ゴルシコフ元帥は、1134B型大型対潜艦を基本に、対艦ミサイルを主装備とする巡洋艦の開発を提案しました。この案は評価を受け、1972年には新設計によるミサイル艦の開発が指示され、その結果スラヴァ級の設計が始まりました。1973年に原案が承認され、1976年には1番艦の起工が行われました。設計には1134B型の要素が多く取り入れられていますが、全体の艦型は拡大され、より強力な武装システムが搭載されています。

設計

艦の設計では、さまざまなテクノロジーが融合しており、主機関にはCOGAG構成が採用されています。これにより、巡航機のガスタービンエンジンとハイブリッド方式を組み合わせることに成功しました。これにより、航続距離が延びたものの、整備性の問題が生じ、一部の部品はウクライナ製であったため、ソビエト連邦崩壊後に整備難が発生しました。

装備

スラヴァ級の設計には、遠洋作戦に対応するための高度なセンサーと武器システムが搭載されています。主な任務には、艦隊の掩護や仮想敵艦の撃滅が含まれています。MR-800レーダーやMR-710レーダーが搭載され、強力な探知能力を誇ります。しかし、対潜ミサイルは搭載されておらず、対潜能力には限界がありました。

武器武装

本級の主兵装として、P-500「バザーリト」艦対艦ミサイルが採用されました。このミサイルは非常に長い射程を誇り、敵艦隊に対する強力な攻撃能力を備えています。対空兵器には、S-300F「フォールト」ミサイルが搭載され、高度な防空能力を提供しています。

近代化

2015年以降、スラヴァ級は近代化計画が進められる予定でしたが、2022年には一部の艦に限り実施されました。これにより新しい装備が導入され、艦はさらに現役を維持します。

同型艦

スラヴァ級では4隻が建造されましたが、ソビエト連邦の崩壊によって新たな艦の建造計画は中止となり、これらの艦も次第に解体される運命にありました。

雑学

ゲームや小説など様々なメディアでも登場するスラヴァ級は、そのユニークなデザインと役割から、多くのファンに愛されています。船体が持つ威厳と、強力な武器システムは、今なお多くの人々の記憶に残る存在です。

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