スリー・サイズ・ライヴ

『スリー・サイズ・ライヴ』（Three Sides Live）は、イギリスを代表するプログレッシブ・ロック・バンド、ジェネシスが1982年にリリースしたライブ作品です。このアルバムは、発表当時LPおよびCDいずれも2枚組としてリリースされました。

アルバムの背景と構成

本作には、リリースされた国によって収録内容に違いが見られます。インターナショナル盤のLPでは、ディスク1のA面からディスク2のA面にあたるサイド1からサイド3までがライブ音源で構成されていました。しかし、ディスク2のB面にあたるサイド4には、スタジオ録音された楽曲が収められています。これには、先行してリリースされたアルバム『デューク』制作時の未発表テイクや、同年に発表されたEP『3×3』に収録されていた楽曲が含まれていました。

これに対し、イギリス国内でリリースされたLPは、インターナショナル盤とは異なる構成を採用しています。イギリス盤LPでは、サイド4も含め、全曲がライブ音源で構成されていました。このため、イギリス盤は文字通り「スリー・サイズ」ではなく、全4面がライブという内容でした。

後に、1994年にデジタルリマスターされて再リリースされたCDでは、イギリス盤LPの内容に準拠する形で統一されました。これにより、現在一般的に流通しているバージョンは、全曲がライブ録音で占められています。

収録曲のうち「イット〜ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ」は、他の収録曲とは異なり、フィル・コリンズがボーカルを担当する時期ではなく、ピーター・ガブリエルやスティーヴ・ハケットが在籍していた1976年のライブ音源が使用されています。このトラックには、当時キング・クリムゾンなどで活動していたビル・ブルーフォードがサポートドラマーとして参加しています。

反響と評価

『スリー・サイズ・ライヴ』は商業的にも大きな成功を収めました。特にイギリスでは、アルバムチャートで最高2位まで上昇し、トップ100内に19週間チャートインするロングヒットとなりました。これはジェネシスにとって、通算10作目となる全英トップ10アルバムとなりました。

アメリカのBillboard 200チャートでも成功を収め、最高10位を記録しました。ビルボードのチャートには25週間にわたり登場しています。

音楽評論家からの評価も概ね好意的なものでした。音楽レビューサイトAllMusicの評論家であるブルース・エダーは、このアルバムに5点満点中3.5点を与えています。エダーはレビューの中で、フィル・コリンズのボーカルがアルバム全体を通して安定しており、バンドの演奏もまた印象的な場面が多いと指摘。大規模なアリーナ会場での演奏であっても、その刺激や密度の濃さが保たれている点を評価しています。

主な収録曲

以下に、イギリス盤LPおよびリマスターCDに準拠したライブ音源の主要収録曲の一部をLPのサイド構成に従って示します（カッコ内は特記なき場合の共作者）。

サイド1

ターン・イット・オン・アゲイン
ドードー
アバカブ

サイド2

ビハインド・ザ・ラインズ
ダッチス
ミー・アンド・サラ・ジェーン (Tony Banks)
フォロー・ユー・フォロー・ミー

サイド3

ミスアンダースタンディング (Phil Collins)
イン・ザ・ケイジ（メドレー：シネマ・ショー〜スリッパーメン） (Peter Gabriel, Steve Hackett, P. Collins, Mike Rutherford, T. Banks)
アフターグロウ (T. Banks)

サイド4（イギリス盤LPおよびリマスターCD）

ワン・フォー・ザ・ヴァイン (T. Banks)
ザ・ファウンテン・オブ・サルマシス (P. Gabriel, S. Hackett, P. Collins, M. Rutherford, T. Banks)
イット〜ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ (P. Gabriel, S. Hackett, P. Collins, M. Rutherford, T. Banks) ※1976年ライブ音源

参加ミュージシャン

本作のレコーディングに参加した主なミュージシャンは以下の通りです。

フィル・コリンズ: ボーカル、ドラムス
マイク・ラザフォード: ギター、ベース、バッキング・ボーカル
トニー・バンクス: キーボード、バッキング・ボーカル

アディショナル・ミュージシャン

ダリル・ステューマー: ギター、ベース
チェスター・トンプソン: ドラムス
スティーヴ・ハケット: ギター (「イット〜ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ」)
ビル・ブルーフォード: ドラムス (「イット〜ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ」)

本作は、フィル・コリンズをフロントマンに迎えた時期のジェネシスのライブパフォーマンスを捉えた重要なドキュメントであり、異なる時期の音源を織り交ぜることで、バンドの多様な側面を示した作品と言えます。

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