スロバキア国民党

スロバキア国民党(SNS)の歩み：民族主義と政権参加の狭間で

スロバキア国民党（SNS、Slovenská národná strana）は、スロバキアの政党です。1990年3月、スロバキア共和国の自立を訴えるナショナリズム政党として誕生しました。歴史的には以前から存在した同名の政党のイデオロギー的後継者と自認しており、キリスト教と民族主義を掲げています。しかしながら、ハンガリー系住民やロマ、LGBTQ+などマイノリティへの差別的な言動が目立つことから、一般的には極右政党と認識されています。

SNSは、1990年と1992年の選挙で、連邦議会とスロバキア国民評議会に議席を獲得しました。特に1992年の選挙後には、民主スロバキア運動（HZDS）とともにスロバキアの独立を推進する役割を果たしました。その後、ヴラジミール・メチアル政権に与党として参加し、1994年の選挙後も政権内にとどまりました。しかし、1998年の国民議会選挙で反メチアル勢力が勝利したことにより、野党に転じました。

2002年の選挙では、党内対立が激化し、SNSと真性スロバキア国民党（P-SNS）という2つの派閥に分裂しました。この分裂により、両派閥ともに議席獲得に必要な得票率5％を下回り、議席を失う結果となりました。その後、分裂は解消されましたが、党の極右的な傾向は依然として残りました。

2006年の選挙では、SNSは20議席を獲得し、ロベルト・フィツォ率いる方向・社会民主主義（SMER-SD）を中心とする連立政権に参加しました。しかし、SNSの極右的な政策姿勢は、SMER-SDが欧州社会党から一時的に加盟資格を停止される事態を引き起こすなど、国内外に波紋を広げました。

その後、SNSの勢力は下降の一途をたどります。2010年の選挙では9議席、2012年の選挙では議席獲得に必要な得票率（この選挙後には3％に改正）に届かず全議席を失いました。しかし、2016年の選挙では15議席を獲得し、国会に復帰しました。しかしその勢いは長くは続かず、2020年の選挙では再び全議席を失いました。

国民議会議席数の推移（150議席中）

1990年：22議席 (得票率10.96％)
1992年：15議席 (7.93％)
1994年：9議席 (5.40％)
1998年：14議席 (9.07％)
2002年：0議席 (3.33％)
2006年：20議席 (11.73％)
2010年：9議席 (5.08％)
2012年：0議席 (4.55％)
2016年：15議席 (8.64％)
2020年：0議席 (3.16％)

(出典：中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ、ポスト社会主義国の選挙・政党データ(ベータ版)、ジェトロビジネス短信 「総選挙で連立与党が大敗、第1党の中道右派政党に組閣を委任へ（スロバキア）」)

参考文献

* ポスト社会主義諸国の選挙・政党データベース作成研究会編『ポスト社会主義諸国　選挙・政党ハンドブックⅠ』(PDF). 京都大学地域研究統合情報センター

SNSは、スロバキア政治において重要な役割を果たしてきた一方、その極右的な姿勢は常に議論の的となっています。民族主義を基調とした政策と、マイノリティに対する差別的な言動の間で揺れ動きながら、スロバキア国民党は今後もその存在感を示し続けることになるでしょう。今後の動向に注目が集まります。

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