セバストポリスの戦い

セバストポリスの戦い（692年）

セバストポリスの戦いは、692年に東ローマ帝国とウマイヤ朝の間で、アナトリア半島のセバストポリスで発生しました。この戦いは、両国間の長きにわたる停戦状態を終結させるきっかけとなりました。

戦いの背景

680年以降、東ローマ帝国とウマイヤ朝の間では停戦が続いていましたが、両国の関係は常に緊張を孕んでいました。ウマイヤ朝は、アブドゥルマリク・ブン・マルワーンの治世下で勢力を拡大しており、東ローマ帝国との衝突は避けられない状況でした。

戦いの構図

ウマイヤ朝軍は、アブドゥルマリクの異母弟であるムハンマド・ブン・マルワーンが指揮を執りました。一方、東ローマ軍はレオンティオスが率い、その中にはネブロス率いる3万人のスラヴ人からなる「特別軍」が含まれていました。このスラヴ人部隊の存在が、戦いの行方を大きく左右することになります。

戦闘の経過

ウマイヤ朝は、東ローマ側が和平を破ったことに強く反発し、条約の写しを軍旗のように掲げて戦いに臨みました。当初、戦況は東ローマ帝国優位に進んでいるかのように見えましたが、2万人のスラヴ人部隊が突如として裏切り、ウマイヤ朝側に寝返ったことで、戦局は一変しました。この裏切りにより、東ローマ軍は総崩れとなり、壊滅的な敗北を喫しました。

戦いの後

一部の文献には、ユスティニアノス2世がニコメディア湾で残ったスラヴ人を女性や子どもに至るまで虐殺したという記述がありますが、現代の歴史家は、この記述の信憑性に疑問を呈しています。

セバストポリスの戦いは、東ローマ帝国とウマイヤ朝の間の勢力図を大きく塗り替える出来事となりました。この戦いを契機に、両国間の衝突は激化し、東ローマ帝国は領土の一部を失うことになります。

参考文献

Hendy, Michael F. (2008). Studies in the Byzantine Monetary Economy C. 300-1450. Cambridge University Press
Lilie, Ralph-Johannes (1976) (German), Die byzantinische Reaktion auf die Ausbreitung der Araber. Studien zur Strukturwandlung des byzantinischen Staates im 7. und 8. Jhd., Munich: Institut für Byzantinistik und Neugriechische Philologie der Universität München
* Stratos, A.N. (1980), Byzantium in the Seventh Century, Volume V: Justinian II, Leontius and Tiberius, 685–711, Amsterdam: Adolf M. Hakkert

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