セビリャーナ (エルガー)

セビリャーナ 作品7

エドワード・エルガーが1884年に作曲した管弦楽曲で、作品番号は7番が与えられています。作曲者自身は「Sevillaña (Scène Espagnole)」と表記することもあり、その題名が示す通り、スペインの情景を描写した作品です。エルガーはこの曲を、バーミンガム音楽祭で指揮者を務めていたW.C.ストックリーに献呈しています。

概要

本作が作曲された1884年当時、エルガーは26歳の若き作曲家でした。この時期は、ヘレン・ウィーヴァーとの婚約が解消された直後という、個人的にも大きな変化があった頃にあたります。

楽曲は、まずウスター大聖堂のオルガニストであったウィリアム・ダンが指揮するウスター・フィルハーモニック協会によって、1884年5月1日にウスターで初演されました。その直後、ロンドンでの重要な初演が行われます。エルガーにヴァイオリンを教えていたアドルフ・ポリッツァーが、指揮者のアウグスト・マンスに楽譜を見せたことがきっかけとなり、同年5月12日に水晶宮で行われたコンサートでマンスの指揮によって演奏されたのです。この水晶宮での演奏は、エルガー自身の管弦楽曲がロンドンで初めて紹介された記念すべき機会となりました。

楽譜は当初、チャールズ・タックウッド社から出版されました。その後、作曲者自身による改訂が加えられた版が、1895年にアッシャーバーグ社から刊行されています。

演奏時間

演奏時間は約5分程度です。

楽器編成

この作品は、以下の楽器編成で演奏されます。

フルート2（うち1本はピッコロ持ち替えあり）
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
ホルン2
コルネット2
トロンボーン2
バストロンボーン
チューバ
打楽器（小太鼓、タンバリン、大太鼓、シンバル、トライアングル）
* 弦五部（第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

楽曲構成

楽曲はアレグロ・モデラート、3/8拍子、ト短調で始まります。スペイン南部アンダルシア地方の舞曲であるセビジャーナス特有のリズムを模した、活気ある導入部で幕を開けます。簡潔な序奏の後、ヴァイオリンによって主要な主題が提示されます（譜例1）。この主題は、付点のリズムが特徴的で、スペイン風の雰囲気を醸し出しています。

付点のリズムによる短い結びを経て、楽曲はト長調に転調し、優美で歌謡的な旋律が現れます（譜例2）。これは、冒頭の活気とは対照的な、抒情的な性格を持つ主題です。

続いて、ニ長調による陽気で快活なエピソードが登場します（譜例3）。この部分は、明るく軽快なリズムとメロディーで、楽曲に一層の活気を与えます。

これらの主題（譜例2、譜例3）を用いて展開が行われた後、付点のリズムが再び顔を出し、冒頭の主題（譜例1）が再現されます。これにより、楽曲全体に統一感がもたらされます。

コーダでは、コン・フォーコ（火のように、情熱的に）の指示のもと譜例2が提示され、続いてプレスト（急速に）の指示のもと譜例1も現れます。曲はクライマックスに向けて加速し、非常に速いテンポの中で畳み掛けるように力強く終結を迎えます。

この作品は、若きエルガーのオーケストレーションの才能と、スペイン音楽への関心を示す初期の重要な作品と言えます。

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