セミラーミデ

ロッシーニの歌劇『セミラーミデ』：作品解説

『セミラーミデ』（Semiramide）は、ジョアキーノ・ロッシーニが1823年に作曲したオペラ・セリアであり、彼のイタリア時代の最後を飾る作品として知られています。ヴォルテールの悲劇『セミラミス』を基にしており、ガエターノ・ロッシが台本を手がけました。同年2月3日にヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演され、聴衆を魅了しました。

作曲の背景

ロッシーニはナポリ時代に数々のオペラ・セリアを手がけ、その才能を開花させました。1822年にウィーンを訪れた際、ベートーヴェンに面会し、彼の交響曲第3番『英雄』に感銘を受けました。ベートーヴェンからはオペラ・ブッファの作曲を勧められたとされています。この助言が刺激になったのか、『セミラーミデ』にはドイツ音楽の影響が見られ、重厚かつ色彩豊かな管弦楽法が用いられています。スタンダールからは「ドイツ風の騒々しい音楽」と評されたものの、ロッシーニは1822年10月頃から作曲に着手し、1823年に完成させました。

作品の特徴

『セミラーミデ』は、ロッシーニがナポリ時代に培った作曲技法をふんだんに盛り込んだ作品です。序曲を復活させ、アリアや重唱を中心にバランスの取れた構成となっています。合唱を物語の進行に合わせ、民衆の声として効果的に使用することで、劇的な音楽をより一層引き立てています。序曲は劇中のテーマを盛り込み、オペラ全体との一体感を保つように構成されています。

構成

全2幕9場から構成されています。

第1幕
第1場：バール神殿内の大広間
第2場：空中庭園
第3場：ニーノ王の霊廟前の大広間
第2幕
第1場：セミラーミデの居間
第2場：バール神の神殿内
第3場：セミラーミデの部屋の前
第4場：セミラーミデの部屋
第5場：ニーノ王の霊廟入り口
第6場：ニーノ王の霊廟の中

あらすじ

物語は古代アッシリアを舞台に、ニーノ王の暗殺と王位継承を巡る陰謀、そしてセミラーミデとアルサーチェの愛憎劇が繰り広げられます。セミラーミデは、亡き夫ニーノ王の霊廟で繰り広げられる復讐劇に巻き込まれ、自らの過去と向き合うことになります。最終的に、アルサーチェがニーノ王の息子であることが判明し、王位を継承しますが、その過程で материнская кровь を流すという悲劇的な結末を迎えます。

登場人物

セミラーミデ：バビロンの女王、故ニーノ王の妃（ソプラノ）
アルサーチェ：スキタイ人でアッシリアの士官（コントラルトまたはメゾソプラノ）
アッスール：バール神の末裔の王子（バス）
イドレーノ：インドの王子（テノール）
オローエ：バール神の大祭司長（バス）
アゼーマ：バール神の末裔の王女（ソプラノ）
ニーノ王の亡霊（バス）

演奏時間

約3時間半（序曲のみ12分）

主要曲

第1幕：
「やっとバビロニアに着いた」（アルサーチェ）
「麗しい光が」（セミラーミデ）
「その愛を永遠に」（セミラーミデ、アルサーチェ）
「悲しみに沈むうめき声は」（セミラーミデ、イドレーノ、アルサーチェ、アッスール、オローエ、ニーノ王の亡霊、合唱）
第2幕：
「このむごい災いの一瞬に」（アルサーチェ）
「甘美な希望がこの魂を魅惑して」（イドレーノ）
「よろしい、さぁ、手を下しなさい」（セミラーミデ、アルサーチェ）
「われわれは復讐するぞ」（アッスール）

『セミラーミデ』は、ロッシーニの драматическая な才能が結実した傑作として、今日でも世界中で上演され続けています。技巧的な歌唱と драматическая な展開は、聴衆を древний мир へと誘い、感動を与え続けています。

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