セルビア急進党

セルビア急進党（SRS）は、セルビアにおける極右政党として知られています。同党は、大セルビア主義を掲げる強硬な民族主義政党であり、その活動は国内外で大きな議論を呼んできました。

1991年、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の崩壊とセルビア共和国における民族主義の高まりの中で、ヴォイスラヴ・シェシェリらによって創設されました。SRSは、第二次世界大戦中のセルビア民族主義ゲリラ組織であるチェトニックの伝統を継承していると主張しています。

スロボダン・ミロシェヴィッチ率いるセルビア社会党とは、大セルビア主義という点では一致していましたが、内政問題ではしばしば対立し、連立政権の形成と解消を繰り返しました。

ユーゴスラビア紛争、特にクロアチア紛争とボスニア・ヘルツェゴビナ紛争において、SRSは民兵組織を動員し、民族浄化に関与したとされています。このため、シェシェリ党首は2003年、戦争犯罪と人道に対する罪の容疑で、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷に身柄を移送されました。しかし、彼は党首および国民議会議員の地位を維持し続けました。

2008年のセルビア大統領選挙では、収監中のシェシェリに代わりトミスラヴ・ニコリッチが候補者となりましたが、親欧派・中道左派のボリス・タディッチ（民主党）に僅差で敗れました。しかし、その直後の国民議会選挙では78議席を獲得し、第二勢力に躍進しました。しかし、選挙後、ニコリッチはシェシェリと対立し、SRSを離党してより穏健なセルビア進歩党を結成しました。

シェシェリの拘束と主要な議員のセルビア進歩党への移籍により、SRSは急速に支持を失いました。2012年と2014年の総選挙では、議席を獲得するための最低得票数すら達成できず、セルビア議会での議席を失いました。しかし、ヴォイヴォディナ自治州議会には議席を維持していました。

2016年の総選挙では、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で無罪判決を受けたシェシェリが党首として復帰しました。彼は「親露・反米・反EU」を政策の中心に据え、セルビア進歩党に対抗する姿勢を明確にしました。その結果、SRSは22議席を獲得し、議会に復帰を果たしました。

しかし、2020年の総選挙では再び得票が激減し、政党要件を満たすことができず、大敗を喫しました。現在、SRSはヴォイヴォディナ自治州議会にわずか4議席を維持するのみとなっています。SRSはかつてセルビア政界において重要な役割を果たしたものの、現在は衰退の一途を辿っています。その動向は、セルビアの政治情勢を考える上で重要な要素ではありますが、その影響力はかつてほど大きくありません。

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