セントビンセント・グレナディーンの歴史

セントビンセント・グレナディーンの歴史

この項目では、カリブ海の島国セントビンセント・グレナディーンの歴史を、先住民の時代から現代までを辿ります。

独立以前

18世紀以前、セントビンセント島では先住民のカリブ族が、ヨーロッパ人による開拓を激しく阻止していました。しかし、難破や逃亡によってセントルシアやグレナダから逃れてきたアフリカ人奴隷が島に流れ着き、カリブ族と結婚しました。彼らの子孫は「ブラックカリブ」として知られるようになります。

1719年以降、フランス人入植者たちはアフリカ人奴隷を使って、コーヒー、タバコ、藍、綿、砂糖などのプランテーションを経営しました。セントビンセントは1763年のパリ条約でイギリスに割譲されますが、1779年にはフランスの支配下に戻り、1783年のパリ条約で再びイギリス領となりました。

イギリスとブラックカリブの間の紛争は、1796年まで続きます。アバクロンビー将軍がフランスの急進派ビクトー・ヒューグスが扇動した反乱を鎮圧。結果として、5,000人以上のブラックカリブが、中米のベリーズやホンジュラス沖のロアタン島などに強制送還されました。

1834年に奴隷制度が廃止されると、プランテーションの労働力が不足しました。1840年代にはポルトガルからの移民、1860年代にはインドからの移民が労働力として導入されました。しかし、厳しい労働環境と世界的な砂糖価格の低迷により、経済は19世紀末まで停滞を余儀なくされました。

現在まで

1763年の正式な植民地化から1979年の独立まで、セントビンセントはイギリスの様々な植民地支配を経験しました。1776年には議会が設置され、1877年には直轄植民地政府が置かれました。1925年には立法議会が創設され、1951年には普通選挙が導入されました。

この間、イギリスはセントビンセントを他のウィンドワード諸島と統合して統治しようと試みましたが、成功しませんでした。1962年に崩壊した西インド連邦がその代表例です。1969年10月27日、セントビンセントは自治権を有する州となりました。そして、1979年の国民投票で、セントビンセントおよびグレナディーン諸島はウィンドワード諸島で最後に独立を達成し、同年10月27日に独立を祝いました。

20世紀の間、セントビンセントは度重なる自然災害に見舞われました。1902年には、スフリエール山が噴火し、2,000人もの命が失われ、農地が破壊され経済は悪化しました。1979年4月にも再び噴火しましたが、死者は出なかったものの、数千人が避難を余儀なくされ、広範囲の農地が被害を受けました。

1980年と1987年にはハリケーンがバナナとココナッツのプランテーションを襲い、1998年と1999年にも、活発なハリケーンが被害をもたらしました。1999年のハリケーン・レニーでは、西海岸が広範囲にわたり壊滅的な被害を受けました。

2001年の総選挙では、統一労働党が政権を握り、ゴンザルベス首相が就任しました。統一労働党は2005年、2010年、2015年、2020年の総選挙でも勝利し、ゴンザルベス首相は5期目の長期政権を維持しています。

2021年4月19日、スフリエール山が再び大規模な噴火を起こし、セントビンセント島は火山灰に覆われ、大規模な停電が発生しました。グレナディーン諸島と合わせて約2万人が自宅から避難することを余儀なくされました。

セントビンセント・グレナディーンは、自然の恵みと脅威の両方に晒されながらも、独立を勝ち取り、発展を続ける国として歩んでいます。

脚注

外部リンク

St. Vincent Timeline

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