セント・オールバンズの戦い (1461年)

第2次セント・オールバンズの戦い：薔薇戦争の一局面

1461年2月17日、イングランドのセント・オールバンズ近郊で、薔薇戦争における重要な戦いの一つ、「第2次セント・オールバンズの戦い」が勃発しました。この戦いは、ランカスター派とヨーク派の勢力争いが激化する中で起こり、その後のイングランドの歴史に大きな影響を与えました。

戦いの背景

1460年12月、ヨーク派の指導者であったヨーク公リチャードがウェイクフィールドの戦いで戦死しました。彼の後を継いだのは、18歳の息子、マーチ伯エドワード（後のエドワード4世）でした。しかし、エドワードはモーティマーズ・クロスの戦いに従事しており、不在でした。この状況を見たランカスター派のマーガレット王妃は、好機と捉え、ロンドンを急襲するため南進を開始しました。

戦闘の経過

ランカスター派の軍勢は、ウォリック伯リチャード・ネヴィル率いるヨーク派軍によって、セント・オールバンズ近郊で迎え撃たれました。ウォリック伯は入念に防御陣地を構築していましたが、ランカスター派軍は予想外の方向から出現し、ヨーク派軍を圧倒しました。この奇襲により、ウォリック伯の弟であるモンターギュ男爵ジョン・ネヴィルは捕虜となり、ウォリック伯自身も辛うじて戦場から離脱し、マーチ伯との合流を目指して西へ退却しました。

特筆すべき点として、この戦いでは下級兵士の犠牲者が多数出た一方で、戦死した貴族はランカスター派のフェラーズ男爵ジョン・グレイ（エリザベス・ウッドヴィルの最初の夫）のみでした。

戦いの結果とその後

ランカスター派はこの勝利により、ヨーク派に捕らえられていたヘンリー6世を奪還しました。ヘンリー6世は戦場から遠く離れた場所で、木の下で歌を歌い笑っていたと伝えられています。また、ヘンリー6世の護衛役であったボンヴィル男爵ウィリアム・ボンヴィルとトーマス・キリエルは、マーガレット王妃とエドワード王太子の命令により処刑されました。

しかし、ランカスター派はロンドンへの進軍を強行しませんでした。その理由は、ランカスター派の兵士による略奪行為の噂が広まり、ロンドン市民が城門を閉ざして入城を拒否したこと、そしてマーガレット王妃自身も躊躇したことにありました。さらに、マーチ伯がモーティマーズ・クロスの戦いで勝利したという知らせが届き、ヨーク派の反撃を恐れたランカスター派は、北へと撤退しました。

その後、マーチ伯とウォリック伯は3月2日にロンドンに入り、マーチ伯はエドワード4世としてイングランド王に即位しました。この出来事は、薔薇戦争におけるヨーク派の優位を確立する上で重要な転換点となりました。



参考文献
* トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

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