ゼウス神殿

オリュンピア＝ゼウス神殿について

オリュンピア＝ゼウス神殿は、ギリシャのアテネに存在する大規模な神殿で、オリュンポス十二神の中でも最高神ゼウスを奉じるために建てられました。アクロポリスの東側に位置し、その壮大さは古代世界の建築物の中でも群を抜いています。この神殿の建設は紀元前6世紀に始まったものの、実際に完成を見たのは、ローマ帝国の皇帝ハドリアヌスの時代、紀元後2世紀のことでした。

歴史的背景

紀元前550年頃、アテナイの僭主ペイシストラトスによって神殿建設が開始されました。当初は小規模な祠からスタートしましたが、その後の建設は一時中断され、彼の息子ヒッピアスが再開しました。しかし、紀元前510年にヒッピアスが追放されてしまったため、工事は再度ストップしました。この神殿の基礎部分と未完成の円柱は、その後336年もの間、放置されることとなりました。

紀元前174年、セレウコス朝のアンティオコス4世エピファネスが再び建設作業を開始しました。この時期には、神殿のデザインがドーリア式からコリント式に変更され、円柱の数も増やし、より豪華な仕様となりました。円柱はそれぞれ17メートルの高さを持ち、直径は2メートルという比類のないものです。しかし、紀元前164年にアンティオコス4世が崩御し、再び工事は中断されました。

ローマ共和政の時代には、この神殿にあった円柱がローマに持ち去られ、カピトリーノの丘に建てられたユピテル神殿に利用されてしまったため、神殿はさらに傷つきました。その後、皇帝アウグストゥスの手によって新たに建設が開始されますが、完成にはしばらく時間がかかり、最終的にハドリアヌスの時代まで待たなければなりませんでした。

完成とその後の運命

ハドリアヌス帝は124年から125年にかけてアテネを訪れた際、様々な公共建築物の工事を行い、その中でオリュンピア＝ゼウス神殿の完成も含めました。神殿は132年に完成し、ハドリアヌスに捧げられました。その構造には、神殿内にゼウス像も祀られていたと伝えられています。

しかし、425年に東ローマ帝国の皇帝テオドシウス2世が、異教の神々を祀る神殿を閉鎖することを決定しました。5世紀から6世紀にかけて、この神殿は破壊され、その石材は周囲のキリスト教聖堂の建設に再利用されることとなりました。

アクセス情報

オリュンピア＝ゼウス神殿へのアクセスは簡単で、アテネの地下鉄2号線のアクロポリ駅から約400メートル北東に歩くことで到達可能です。

関連施設

この神殿の近くには、パルテノン神殿やオリンピアのゼウス像、古代のハドリアヌスの凱旋門など、他の歴史的な名所があります。また、神殿の北側にはアテネ国立庭園が隣接しており、第一回近代オリンピックの会場であったザッペイオンも近くに位置しています。これらの施設を併せて訪れることで、アテネの豊かな歴史をより深く体験することができるでしょう。

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