ゼムスキー・ソボル

ゼムスキー・ソボルについて

ゼムスキー・ソボル（ロシア語: зе́мский собо́р）は、ロシアにおいて16世紀半ばから17世紀にかけて開催された封建的な身分制議会です。この議会は「全国会議」と訳されることもあり、ツァーリと聖職者、さらに貴族たちによって構成されていました。この組織は、国政上の重要な問題を討議し、また法律の整備に寄与する場として機能していました。

ゼムスキー・ソボルの構成

ゼムスキー・ソボルは主に以下の三つの議会から構成されていました：
1. 貴族会議 - 貴族や高位高官から成り立つ。
2. 聖職者会議 - 高位の聖職者によって構成される。
3. 第三身分 - 商人や町人の代表者で、時折農民の代表も含まれる。

起源と歴史

ゼムスキー・ソボルの起源は、1559年にモスクワ大公イヴァン4世（イワン雷帝）が召集した会議に遡ります。イワン雷帝の時代には、ゼムスキー・ソボルは頻繁に開かれ、当時の国政や法律に関する重要な議論が行われました。イワン雷帝は議会を主導しましたが、時には士族や都市住民がその主導権を握ることもありました。特に1566年には、オプリーチニナの廃止を求める意見が上がり、イワン雷帝はこれに対し強く反発しました。このことが結果として反対派の弾圧を引き起こす事態となりました。

1598年、リューリク朝が断絶し、ボリス・ゴドゥノフがツァーリとして選ばれた後、ゼムスキー・ソボルは特に17世紀初頭の動乱時代において頻繁に開かれるようになりました。この時期、1613年にはミハイル・フョードロヴィッチ・ロマノフがツァーリに選出され、ロマノフ朝が始まります。

ロマノフ朝とゼムスキー・ソボル

ミハイル帝の治世中、ゼムスキー・ソボルは各勢力の調整や、動乱後のロシアの再建に大きく関与しました。ミハイルに次いでアレクセイ・ミハイロヴィチの時代にも議会は開かれ、1649年には会議法典が制定されました。この新法典の制定はロマノフ家の支配権強化に繋がり、17世紀の後半には徐々にその権威を失っていきました。

最終的に1654年、ペレヤスラフ条約の批准がゼムスキー・ソボルによる国政上の最後の大きな功績となりました。その後は、ツァーリの諮詢機関として活動するようになり、1675年には常設会議化を求める声が上がったものの、ピョートル大帝による絶対主義の確立によりその活動は終了します。

現代におけるゼムスキー・ソボルの名残

興味深いことに、1922年7月23日にはウラジオストクでゼムスキー・ソボルの名を冠した会議が白軍によって開催されました。ティーホン・モスクワ総主教が名誉議長として名を連ね、この会議では帝政復活を唱え、ロマノフ家の皇族であったニコライ・ニコラエヴィチ大公を擁立しようとしました。しかし、結果的にはボリシェヴィキにより計画は失敗に終わりました。

このように、ゼムスキー・ソボルはロシアの歴史において重要な役割を果たしてきた封建的な身分制議会であり、その影響は現代にも見受けられます。

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