ソアーヴェ (ワイン)

ソアーヴェ：イタリアが生む、洗練された白ワイン

ソアーヴェは、イタリア北東部ヴェネト州ヴェローナ近郊で生産される、辛口の白ワインです。その名は、D.O.C.（統制原産地呼称）認定区域名でもあり、さらに上位規格のD.O.C.G.（保証付き統制原産地呼称）であるソアーヴェ・スペリオーレも存在します。今回はその魅力に迫ります。

ソアーヴェの歴史

ソアーヴェのワイン造りの歴史は古く、古代ローマ時代に遡ります。2世紀にはすでに「レティコ」と呼ばれるワインが造られ、ウェルギリウスやスエトニウスといった著名人に愛されました。中世には、東ゴート王国のカッシオドルスが、その美しい白さを絶賛しています。「ソアーヴェ」という名前の由来は諸説ありますが、有力なのは、ランゴバルド王国の時代にこの地に住んでいたスエビ族の呼び名「スヴェーヴィ」に由来するという説です。

19世紀にはブドウ畑の地図が作成され、ガルガーネガとトレッビアーノ・ディ・ソアーヴェが主要品種として確立しました。20世紀初頭のフィロキセラ禍からの復興を経て、1924年にはワイン保護協会が設立され、品質向上への取り組みが始まりました。1968年にはソアーヴェDOCが制定され、生産地域が拡大。2001年にはソアーヴェ・スペリオーレDOCGが設けられましたが、その境界線は複雑で議論を呼びました。近年では、クリュ（U.G.A.）の認定も進み、テロワールを重視したワイン造りが進んでいます。

ソアーヴェのワイン生産地域

ソアーヴェの生産地域は、ヴェローナ県東部の丘陵地帯に位置し、複数のコムーネにまたがります。秋にはポー川流域からの霧の影響を受けるため、ブドウには病害のリスクもあります。主要品種であるガルガーネガは晩熟で、果皮が厚いため、霧への耐性があります。

ソアーヴェ・クラッシコ

クラッシコは、ソアーヴェDOCおよびソアーヴェ・スペリオーレDOCGにおいて、ソアーヴェとモンテフォルテ・ダルポーネの丘陵地で収穫されたブドウのみが名乗れる地区です。この地区の土壌は痩せており、石灰質を多く含む西側と、火山岩由来の東側で、ワインの風味に違いが生まれます。

ソアーヴェ・スペリオーレ

ソアーヴェ・スペリオーレは、大量生産のイメージを払拭し、品質を向上させるために設けられた規格です。土壌、標高、日照などの調査に基づき、区画が分類されました。従来のクラッシコ地区に加え、コッリ・スカリージェリと呼ばれる丘陵地の区域も含まれます。

クリュ (U.G.A.)

2019年には、33のクリュ（U.G.A.）が公式に認定されました。これにより、単一畑産のブドウで作られたワインのラベル表示が可能になり、テロワールをより明確に表現できるようになりました。各クリュは、ワインの特徴、歴史的な地名区分、テロワールを総合的に考慮して決定されています。

D.O.C.およびD.O.C.G.の規定

ソアーヴェ DOC

ソアーヴェDOCのワインは、ガルガーネガを70%以上使用する必要があります。トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェやシャルドネなどの品種もブレンドできますが、使用できる割合には制限があります。収量やアルコール度数にも規定があり、品質を維持するための努力が払われています。スプマンテ（発泡）タイプの規格も存在します。

ソアーヴェ・スペリオーレ DOCG

ソアーヴェ・スペリオーレDOCGでは、ガルガーネガの比率が70%以上であること、収量やアルコール度数などが厳しく定められています。また、熟成期間も定められており、より高品質なワイン造りが求められます。リゼルヴァ規格も存在し、さらに厳しい基準が設けられています。

レチョート・ディ・ソアーヴェ DOCG

レチョート・ディ・ソアーヴェDOCGは、パッシート方式で造られる甘口ワインです。ガルガーネガを主体とし、陰干ししたブドウを使用します。収量やアルコール度数、熟成期間などが厳しく規定されています。発泡タイプのスプマンテ規格もあります。

ワイン醸造およびワインの特徴

ソアーヴェは、かつてはミディアムボディのワインとして知られていましたが、近年では軽快でキレのあるタイプも人気を集めています。ガルガーネガの特徴を生かし、白い果実やハーブのアロマを持つ、フレッシュでエレガントなワインが主流です。ソアーヴェ・スペリオーレDOCGは、より厚みがあり、アーモンドやチェリーの香りが感じられます。

近年では、協同組合からの独立や、テロワールを重視したワイン造りにより、品質が向上しています。しかし、規定に縛られない、より洗練されたワインを造るために、あえてソアーヴェ・スペリオーレDOCGの呼称を使用しない生産者も存在します。

ソアーヴェは、その長い歴史と伝統を受け継ぎながら、常に進化を続けるワインです。ぜひ一度、その奥深い味わいを試してみてはいかがでしょうか。

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