ソク県

ソク県（索县）の概要

ソク県は、中華人民共和国チベット自治区ナクチュ市に属する県です。チベット語では「སོག་རྫོང་」、中国語では「索县」と表記されます。怒江の上流にあたる索曲河の流域に位置し、森林と草原が広がっています。ソクという地名はチベット語でモンゴルを意味し、日本語の地図では「ソッシェン」と表記されることもあります。県政府所在地は亜拉鎮です。

歴史

ソク県の歴史は古く、元代には「索格」、明代には「瑣庄」と呼ばれていました。明末清初には、モンゴルのホショート部のグシ・ハンの支配下に入りましたが、1732年にはチベット政府の管轄となり、その後1751年には駐蔵大臣の直接管轄となりました。1960年にソク県人民政府が成立し、嘎切塘を県府としました。

行政区画

ソク県は、2つの鎮と8つの郷を管轄しています。

鎮: 亜拉鎮、栄布鎮
郷: 若達郷、加勒郷、赤多郷、西昌郷、江達郷、熱瓦郷、嘎美郷、嘎木郷

地理

ソク県は、チベット北部の高原と東部の高山峡谷の結合部に位置し、南羌塘太湖盆地にあります。地形は平地が主体で、西が高く東が低い傾斜地です。平均海抜は3572mで、西部には比較的広大な高山草原が、その他は高山峡谷が広がっています。最高海抜は6328mに達し、渓谷が多い地形です。

気候

気候は高原温帯半湿潤モンスーン気候に属します。空気は薄く、降水量は比較的多いものの、一日の気温差が大きく、冬と春は風が強いのが特徴です。年平均日照時間は2477.2時間、年降水量は572.9mmです。大風、暴雨、自然火災、雹、洪水などの自然災害が発生しやすい地域です。

資源

ソク県には、鉛、石炭、硫黄、石材などの鉱産資源が豊富です。また、野生動植物資源も豊かで、糠予、鹿、豹、ツキノワグマ、サル、バーラル、オウヨウ、カワウソなどの動物や、多くの鳥類、昆虫が生息しています。薬用植物としては、貝母、知母、黄蓮、冒蓮花、荻芬、党参などが自生しています。

経済

ソク県の経済は、牧畜と農業が中心です。農産物としては、ハダカムギ、春小麦、エンドウ、油菜、元根、ジャガイモ、籮卜、蓮花白などが栽培されています。牧畜では、林特牛、ウシ、コウギュウ、ウマ、メンヨウ、ヤギなどが飼育されています。工業は民族手工業が主体で、毛布、下敷き、民族衣装、陶器などが生産されています。また、材木加工所では、牛皮の鞍、桶、簡単な家具などが作られています。1959年に開通した黒昌公路は県西北部を通過し、近年は県内の郷を結ぶ簡易道路が建設され、交通状況の改善が図られています。

文化

ソク県では、伝統的にポン教とニンマ派（紅教）が信仰されていましたが、清初にゲルク派が政権を握ると、ゲルク派が主要な教派となりました。現在、ゲルク派の増登寺が有名で、その他にも大小190以上の寺が存在します。

交通

ソク県の交通は、主に道路が利用されています。

国道: G317国道

参考資料

A. Gruschke: The Cultural Monuments of Tibet’s Outer Provinces: Kham - Volume 1. The Xizang Part of Kham (TAR), White Lotus Press, Bangkok 2004. ISBN 974-480-049-6
* Tsering Shakya: The Dragon in the Land of Snows. A History of Modern Tibet Since 1947, London 1999, ISBN 0-14-019615-3

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