ソッピース タブロイド

ソッピース タブロイドとシュナイダー：小型高性能複葉機の先駆け

ソッピース タブロイドとソッピース シュナイダーは、イギリスのソッピース・アヴィエーション社が製造した複葉スポーツ機です。この機体は、同社が最初に製作した航空機のひとつであり、そのコンパクトさから「タブロイド」（小型新聞判型）という名前が付けられました。

開発の経緯

1913年11月に初飛行したタブロイドの原型機は、当時としては珍しい並列複座機でした。ロール制御には補助翼ではなく、主翼のねじりを利用していました。当初は80馬力のグノーム・モノスーパープ・ロータリーエンジンを搭載し、テストでは乗客1名を乗せて最高速度148km/hを記録、366mまで1分で上昇する性能を発揮しました。タブロイドは合計40機が製造されました。

1914年4月20日には、100馬力エンジンを搭載し、フロートを装着したタブロイドが「ソッピース シュナイダー」として、シュナイダー・トロフィー・レースで優勝しました。このシュナイダー・レーサーは量産化され、若干の変更を加えて合計160機が生産されました。

シュナイダーは水上機母艦からの運用実験も行われました。初期の実験は失敗に終わりましたが、1915年8月6日には水上機母艦カンパニアからの発進に成功しました。

戦歴

タブロイドの単座型は1914年から生産され、最終的に36機がイギリス陸軍航空隊と海軍航空隊で使用されました。第一次世界大戦の勃発に伴い、タブロイドはフランスに展開し、高速偵察機として運用されました。一部の海軍航空隊機は、上翼にルイス機関銃を装備し、プロペラ回転面外から射撃できるように改造されました。また、プロペラに弾丸をそらすための楔を取り付け、プロペラ回転面を通してルイス機関銃を発射する機体も存在しました。

タブロイドは爆撃機としても運用され、1914年9月22日にはイギリス機として初めてドイツ本土を空襲しました。1914年10月8日には、アントウェルペンから発進した2機のタブロイドがケルンとデュッセルドルフのツェッペリン格納庫を攻撃しました。ケルンの目標は確認できなかったため鉄道駅を爆撃しましたが、デュッセルドルフでは高度約180mから2発の爆弾を投下し、ツェッペリン飛行船Z.IXを破壊しました。

タブロイドは1915年前半に実戦から退きました。

派生型

タブロイド: 原型機。車輪装備。
1914年シュナイダー・レーサー: タブロイドのフロート装着型。
シュナイダー: シュナイダー・レーサーの生産型。フロート装備。
レベッド VII: ロシアのレベッドによってライセンスなしにコピーされた偵察機。
レベッド VIII: レベッド VIIの降着装置改良型。

主な使用者

イギリス
イギリス陸軍航空隊
イギリス海軍航空隊
イギリス空軍

性能

乗員: 1名
全長: 7.02m
全高: 3.05m
翼幅: 7.77m
翼面積: 22.39平方メートル
空虚重量: 545kg
最大離陸重量: 717kg
エンジン: グノーム・モノスーパープ 9気筒ロータリーエンジン 100馬力 × 1
最大速度: 148km/h
航続距離: 510km
実用上昇限度: 4,600m
* 武装: 7.7mmルイス機銃 × 1（一部の海軍航空隊機）、9kg爆弾 × 2

ソッピース タブロイドとその派生型は、第一次世界大戦初期における航空戦力の黎明期を象徴する機体であり、その小型軽量な設計と優れた性能は、後の航空機開発に大きな影響を与えました。

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