ソフトバンク・ビジョン・ファンド

ソフトバンク・ビジョン・ファンド (SVF) とは

ソフトバンク・ビジョン・ファンド（SoftBank Vision Fund L.P.、以下SVF）は、ソフトバンクグループが主導するプライベート・エクイティ・ファンドです。登記上の本社はイギリスのジャージー代官管轄区にありますが、実質的な本社機能はロンドンに置かれています。SVFは、ソフトバンクグループとサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド（PIF）を中心に、世界中の機関投資家やテクノロジー企業からの出資を受けています。

設立の背景と主要人物

SVFは2017年5月20日に、ソフトバンクグループの孫正義氏とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子によって設立されました。ファンドの運用はソフトバンクが中心となり、投資先の選定や戦略策定を行っています。設立当初はソフトバンクグループのラジーブ・ミスラ氏が主導し、ジョナサン・バロック氏とアロック・サーマ氏がシニアアドバイザーを務めていました。しかし、2017年1月には株主の要求によりアロック・サーマ氏が解任され、サレ・ロメイ氏が取締役に就任しました。

出資者と運用規模

SVFの主な出資者には、PIF（450億ドル）、ソフトバンク（250億ドル）のほか、ムバダラ開発公社（100～150億ドル）、Apple（10億ドル）、クアルコム（10億ドル）、ラリー・エリソン個人事務所（10億ドル）などが名を連ねています。これらの出資により、運用規模は10兆円を超える見込みです。ソフトバンクはフォートレス・インベストメント・グループを共同買収し、運用ノウハウを取り込み、SVFと合わせて投資部門全体のリスク分散を図っています。しかし、スティーブン・ギブンズ氏は、ソフトバンク、SVF、フォートレスの3社間で利益相反が生じる可能性を指摘しています。

ファンドの運用体制

SVFの運用は、英国にある複数のソフトバンクグループ子会社（SB Investment Advisers）による助言を受け、ジャージーに登記されたSVF GP (JERSEY) Limitedが行っています。ソフトバンクは、1億ドルを超える投資を原則としてSVFを通じて行う方針です。SVFはソフトバンクグループの連結対象となる見込みですが、投資委員会の決定に対してPIFは拒否権を保有しています。

投資家がファンドに投資した資本は、62％が優先ユニット、38％が資本ユニットに割り当てられます。優先ユニットは12年間、7％の利回りが保証されますが、運用益の分配は受けられません。一方、資本ユニットは運用益から手数料を差し引いた収益を得られますが、リスクを伴います。また、ソフトバンクグループとムバダラ開発公社は、デルタ・ファンドにも出資しており、こちらもSB Delta Fund GP (Jersey) Limitedが運用を担当しています。

SVFの沿革

- 2016年10月12日：PIFとソフトバンク間で覚書締結
- 2017年2月14日：フォートレス・インベストメント・グループの共同買収で合意
- 2017年2月27日：ウィーワークへ出資報道
- 2017年2月28日：ワンウェブとインテルサットの条件付き合併およびソフトバンクによる39.9％出資（後にインテルサットの合併は破談）
- 2017年4月22日：SOFTBANK VISION ADVISERS LIMITEDからSB Investment(UK)Advisers LIMITEDへ商号変更
- 2017年5月20日：ソフトバンク・ビジョン・ファンドの初回出資が完了、総額930億ドル超
- 2017年6月15日：元ドイツ銀行のコリン・ファンが参加
- 2017年7月11日：ゴールドマン・サックスのマイケル・ローネンが参加
- 2018年3月27日：サウジアラビア政府と太陽光プロジェクトの覚書を交わす（2,000億ドル投じて発電能力200GWの太陽光発電事業）
- 2018年3月29日：Softbank Investmentを通じ9億3,000万ドル投資しGCL System Integration Technologyと合弁会社設立（発電能力4GWの太陽光発電事業）
- 2019年7月26日：2号ファンドとなるソフトバンク・ビジョン・ファンド2の設立発表

出資者一覧

初回クロージングで開示された出資者と出資額は以下の通りです。

- [ソフトバンク]]グループ株式会社]：280億ドル（ARMの株式24.99%現物出資含む）
- [パブリック・インベストメント・ファンド]：非開示（450億ドルと憶測）
- ムバダラ開発公社：非開示（150億ドルと憶測）
- [[Apple Inc.：非開示（10億ドルと憶測）
- Foxconn Technology Group：非開示
- Qualcomm Incorporated：非開示（10億ドルと憶測）
- シャープ株式会社：10億ドル

主な投資先

ソフトバンクグループからの移管を含む主な投資先は、公式サイトのポートフォリオで確認できます。出資額は、同じ投資ラウンドに出資した他社分を含む場合があります。

外部リンク

まとめ

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、世界最大級のテクノロジー投資ファンドとして、その動向が注目されています。その設立背景、出資構造、投資戦略、関連人物を知ることは、世界のテクノロジー業界を理解する上で不可欠です。本記事では、SVFの多岐にわたる側面を詳細に解説しました。

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