ワンウェブ

ワンウェブとは

ワンウェブ（OneWeb Network Access Associates Limited）は、低軌道（LEO）衛星コンステレーションを用いた衛星通信を開発・運用する企業です。本社をイギリスのロンドンに、拠点をアメリカ合衆国バージニア州に構えています。2012年にグレッグ・ワイラーによって設立され、当初はワールドビュー・サテライト（WorldVu Satellites Ltd.）という社名で、Google傘下に属していました。

設立から破綻、そして再建へ

2019年2月には最初の人工衛星を打ち上げましたが、2020年3月には連邦倒産法第11章を申請し、経営破綻しました。その後、イギリス政府とインドのBharti Globalが主導するコンソーシアムによって買収され、事業を再開しました。この再建により、ワンウェブは再び衛星通信サービスプロバイダーとしての道を歩み始めました。

サービス概要

ワンウェブは、低軌道衛星を活用した高速インターネットサービスを全世界に提供することを目指しています。この衛星コンステレーションは、下り最大200Mbps、上り最大50Mbpsの通信速度と、20-30ms程度の低遅延を実現します。第一世代の衛星コンステレーションでは588基の小型衛星が必要とされていましたが、2023年3月に必要な衛星の打ち上げが完了し、コンステレーションが完成しました。

ワンウェブのサービスは、一般消費者向けではなく、企業、政府機関、既存の通信事業者などを主なターゲットとしています。全世界でのサービス開始は2023年末を予定しており、これにより、これまでインターネット接続が困難だった地域や場所でも、高速通信が利用できるようになることが期待されます。

計画の変遷

当初、ワンウェブは2018年初頭までに12基のプロトタイプ衛星を製造し、アリアンスペースのロケットで打ち上げる計画でした。しかし、計画には遅延が生じ、2019年にサービスイン、2022年までに全ての学校をオンライン化、2027年までにデジタルデバイドを解消するという目標も修正を余儀なくされました。

2019年2月には6基の衛星打ち上げに成功し、2020年からは毎月35基程度の衛星を打ち上げ、650基体制で2021年の商用化を目指す計画に変更されました。さらに、10年後を目処に6000基の衛星配備を目指すという長期的な目標も立てられました。

2017年6月には、FCCから条件付きで事業計画が認可され、通信に用いる周波数帯域も定められました。KuバンドとKaバンドの6つの帯域が使用されることになり、これにより、高速通信サービスの提供が可能になりました。

打ち上げの軌跡

2023年3月までに、合計18回の衛星打ち上げが行われています。最初の試験衛星は2019年2月に打ち上げられ、2020年2月からは本格的な打ち上げが開始されました。当初はアリアンスペースとの契約に基づき、ロシアのソユーズロケットで打ち上げが行われていましたが、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ソユーズでの打ち上げは中止となり、3月に打ち上げ予定だった衛星が返還されないという事態が発生しました。

その後、ワンウェブは打ち上げ手段を確保するため、インドのLVM3ロケットや、競合関係にあるスペースXのファルコン9ロケットを利用しました。これにより、衛星打ち上げの遅延を最小限に抑え、衛星コンステレーションの構築を継続することができました。

沿革

2012年1月：グレッグ・ワイラーによりWorldVu Satellites Limitedとして設立。
2014年5月：Ku/Kaバンド帯域を確保。
2014年9月1日：Googleから離脱。
2015年1月15日：OneWebに社名変更。資金調達と打ち上げ契約を締結。
2015年6月15日：エアバスと合弁でOneWeb Satellites設立。
2015年6月25日：5億ドルの資金調達。
2016年12月19日：ソフトバンクグループが筆頭株主となる。
2017年2月23日：衛星計画を大幅に拡大。
2017年2月28日：インテルサットとの合併に合意、後に破談。
2017年6月22日：FCCにより米国内での衛星コンステレーションが承認。
2017年6月27日：エアバスが衛星の量産を開始。
2019年2月28日：最初の試験衛星6機を打ち上げ。
2019年3月18日：12.5億ドルの資金調達。
2020年2月7日：初の実運用衛星34機の打ち上げに成功。
2020年3月19日：資金難で破産を検討。
2020年3月27日：連邦倒産法第11章を申請。
2020年5月27日：衛星コンステレーションを最大48,000基まで増やす許可を申請。
2020年7月3日：英政府とインドのBharti Globalが主導するコンソーシアムがワンウェブを買収。
2020年12月18日：再建後初の打ち上げに成功。
2022年3月3日：ロシアのウクライナ侵攻によりソユーズでの打ち上げを中止。
2022年3月21日：スペースXとの打ち上げ契約を締結。
2022年12月8日：スペースXのファルコン9による初の打ち上げに成功。
* 2023年3月26日：インドのLVM3による打ち上げに成功。全世界をカバーする衛星コンステレーションが完成。

ワンウェブは、設立から破綻、そして再建という波乱の歴史を経て、低軌道衛星通信の分野で重要な役割を担う企業へと成長しました。今後のサービス展開が期待されます。

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