ソユーズ28号

ソユーズ28号ミッション：インターコスモス計画の始まり

ソユーズ28号は、1978年にソビエト連邦によって実行された有人宇宙飛行であり、当時地球軌道上にあった宇宙ステーション「サリュート6号」を訪れることを目的としたミッションでした。このフライトは、サリュート6号への3度目のドッキング成功例となると同時に、長期滞在中のソユーズ26号クルーに対する2度目の訪問機会を提供しました。

このミッションの最も歴史的な意義は、ソ連が主導した国際宇宙協力計画「インターコスモス」における初の有人宇宙飛行となった点にあります。これにより、これまでソビエト連邦とアメリカ合衆国の国民に限られていた宇宙飛行の機会が、東側諸国やその他の社会主義国の宇宙飛行士にも開かれることになりました。特に、ソユーズ28号に搭乗したチェコスロバキア出身のウラジミル・レメック飛行士は、アメリカおよびソビエト連邦以外の国籍を持つ人物として、初めて宇宙空間に到達した記念すべき人物となりました。

インターコスモス計画は、ソビエト圏諸国から選ばれた軍事パイロットなどをソ連の宇宙船に乗せて、約8日間の宇宙飛行へ送ることを想定しており、ソユーズ28号はその第一弾として位置づけられました。この取り組みの背景には、当時ヨーロッパ諸国の宇宙飛行士を自国のスペースシャトル計画に招き入れようとしていたアメリカ合衆国の動きに対抗する意図も含まれていたとされます。

ソユーズ28号の乗組員は、船長を務めたソ連のアレクセイ・グバレフ飛行士（2回目の宇宙飛行）と、チェコスロバキアから参加したリサーチ飛行士のウラジミル・レメック飛行士（初の宇宙飛行）でした。当初予定されていた打ち上げ日は未特定の技術的な問題により3日間延期されましたが、1978年3月2日にバイコヌール宇宙基地から無事打ち上げられました。

地球軌道に乗ったソユーズ28号は、その後サリュート6号へのドッキングに成功しました。ステーション内では、前年12月からソユーズ26号で滞在を続けていた長期滞在クルー、ゲオルギー・グレチコ飛行士とユーリ・ロマネンコ飛行士が彼らを迎えました。興味深いことに、ソユーズ28号船長のアレクセイ・グバレフ飛行士と、サリュート6号滞在中のゲオルギー・グレチコ飛行士は、1975年にソユーズ17号ミッションで宇宙ステーション「サリュート4号」を共に訪れた経験がありました。

ドッキングが成功した翌日、サリュート6号に滞在していたグレチコとロマネンコ両飛行士は、1974年にアメリカの宇宙ステーション「スカイラブ4号」の乗組員が樹立した84日間の宇宙滞在記録を更新したことを祝いました。

ソユーズ28号ミッションは、単なる技術的挑戦にとどまらず、強い政治的側面も持ち合わせていました。サリュート6号に集合した4名の宇宙飛行士は、ソビエト連邦共産党中央委員会書記長（当時）のレオニード・ブレジネフと、チェコスロバキア社会主義共和国大統領のグスターフ・フサークから、直接メッセージを受け取りました。このメッセージには、インターコスモス計画の成功を機に、当時国際的に揺らぎ始めていた共産主義体制が強化されることへの期待が込められていたと言われています。

政治的な目的が前面に出ていた一方で、ソユーズ28号の滞在中には様々な科学実験も実施されました。これには、無重力環境下での単細胞緑藻類「クロレラ」の培養観察、宇宙空間の溶鉱炉を用いたガラス、鉛、銀、塩化銅などの融解実験、人間の組織における酸素濃度を測定する「オキシメーター」と称される実験などが含まれていました。

約8日間のミッションを終え、ソユーズ28号の乗組員は地球への帰還準備を進めました。彼らはステーション内で実施した実験装置などの片付けを行い、1978年3月10日にサリュート6号から離脱しました。その後、ソユーズ28号カプセルは地球大気圏に再突入し、同日遅くカザフ・ソビエト社会主義共和国（現在のカザフスタン）の首都アスタナから西方約310kmの地点に無事着陸しました。

ミッションパラメータ
質量: 6,800 kg
近点: 198.9 km
遠点: 275.6 km
軌道傾斜角: 51.65°
* 軌道周期: 88.95 分

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