ソユーズTM-11

ソユーズTM-11ミッション概要

ソユーズTM-11は、ソビエト連邦の宇宙ステーション・ミールへの往来を目的とした11回目の有人ミッションです。このミッションの最大の特徴は、日本人ジャーナリストである秋山豊寛氏が宇宙飛行士として搭乗し、日本人初の宇宙飛行を達成した点です。ミッションのコールサインは「デルベーント」でした。

搭乗クルー

打ち上げ時のクルーは以下の3名です。

ヴィクトル・アファナシェフ (ソビエト連邦)
ムーサ・マナロフ (ソビエト連邦)
秋山豊寛 (日本)

帰還時のクルーは以下の3名です。

ヴィクトル・アファナシェフ (ソビエト連邦)
ムーサ・マナロフ (ソビエト連邦)
ヘレン・シャーマン (イギリス)

バックアップクルーには、アナトリー・アルツェバルスキー、セルゲイ・クリカレフ、菊地涼子が選ばれました。

ミッションの詳細

ソユーズTM-11の打ち上げは、ソユーズロケットのブースターやノーズフェアリングに日本の国旗、「TBS宇宙プロジェクト」のスポンサー広告、TBSのロゴマークが描かれるなど、日本色が強く打ち出されました。また、降下モジュールに搭載されたカメラは、秋山氏が所属するTBSに宇宙飛行の映像を送信しました。

ミールとのドッキング直前には、日本上空を飛行するルートとなったため、日本各地からランデブー飛行を行うミールとソユーズTM-11が観測されました。地上は暗くなりつつありましたが、上空のミールとソユーズは日没直後で太陽光を多く反射する好条件が重なり、非常に良く見ることができました。

このミッションは、TBSがソ連の宇宙機関グラブコスモスに資金提供することで実現しました。ソ連政府はこのミッションを初の商業飛行と位置づけ、1400万ドルの収益を得たとされています。秋山氏は宇宙滞在中、毎日10分間のテレビ番組と20分間のラジオ番組を2つ担当し、宇宙からの情報を発信しました。放送機材はプログレスM補給船で運ばれ、事前にミールに滞在していたゲンナジー・マナコフとゲンナジー・ストレカロフによって組み立てられました。テレビカメラはソニー製でPAL方式でしたが、ミールからモスクワへの地上伝送はSECAM方式、日本での放送はNTSC方式で行われました。

秋山氏の座席は12月5日にソユーズTM-10に移され、12月8日にソユーズTM-10が帰還を開始しました。秋山氏を含むソユーズTM-11のクルーの着陸の様子は、TBSによってカザフスタンから中継されました。

ソユーズTM-11は、ミールに175日間ドッキングした後、ソユーズTM-12でミールを訪れたヘレン・シャーマンを含む3人で地球に帰還しました。

その他

ソユーズTM-11の打ち上げと同日に、アメリカではSTS-35（コロンビア）が打ち上げられました。この結果、宇宙空間には同時に12人の人間が滞在することになり、当時の新記録となりました。この記録は1995年3月14日に破られています。

ソユーズTM-11ミッションは、商業宇宙飛行の先駆けとして、また日本人初の宇宙飛行を実現したミッションとして、宇宙開発史にその名を刻んでいます。

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