ソルリの話

ソルリの話 (Sörla þáttr) の解説

『ソルリの話』は、14世紀後半に2人のキリスト教司祭によって編纂された写本『フラート島本』に収録されている、『オーラーヴ・トリュッグヴァソンのサガ』の拡張版に含まれる物語です。この物語は、9世紀から10世紀を舞台に、フレイヤがドワーフから首飾りを手に入れる過程、血なまぐさい戦いの勃発、そしてオーラーヴ・トリュッグヴァソンがどのように平和をもたらしたかを描いています。

物語の構成と要素

物語は、フロージの死後24年から始まり、フレイヤとドワーフ、ロキ、エルリング王とソルリ、ヘジンとホグニといった登場人物を中心に展開されます。物語は、より初期の物語の要素を組み合わせて構成されており、『ヘイムスクリングラ』や詩『ロキの口論』、『家の頌歌』、そしてヒャズニングの戦いといった要素が取り入れられています。

物語の最後では、キリスト教の出現が、ラグナロクまで続くはずだった古い呪いを終わらせるという結末を迎えます。

主要なエピソード

フレイヤとドヴェルグ達

物語は、アシーアランドという土地で、オージンが国王として君臨し、フレイヤがニョルズの娘として登場する場面から始まります。フレイヤはオージンの愛妾であり、彼から深く愛されていました。

物語は、アールヴリッグ、ドヴァリン、ベルリング、グレールという4人のドワーフが登場します。彼らは熟練した職人であり、大きな石の中に住んでいました。ある日、フレイヤは彼らが美しい首飾りを作っているのを目にし、金銀と引き換えに首飾りを手に入れようとします。しかし、ドワーフたちは彼女と各々が一晩を過ごすことだけを条件に首飾りを売ると言い、フレイヤはそれを受け入れます。4夜をドワーフたちと過ごした後、フレイヤは美しい首飾りを手に入れて帰ります。

ロキの暗躍

ロキは、ファールバウティとラウフェイの息子として登場します。彼は情報収集の才能によってオージンから高く評価されていました。ロキはフレイヤの首飾りのことをオージンに告げ、オージンは彼に首飾りを奪ってくるように命じます。ロキはハエに変身してフレイヤのいる場所を探し出し、彼女が首飾りを着けて眠っている隙に、ノミに変身して彼女を刺します。彼女が体を動かした隙に首飾りを外し、盗み出してオージンの元へ届けます。

フレイヤは首飾りを取り戻そうとしますが、オージンは彼女がどのようにして首飾りを手に入れたかを知っており、首飾りを返す条件として、2人の王と彼らに従う20人の王に魔法をかけ、毎晩戦って死ぬが再び立ち上がるように命じます。そして、キリスト教徒の支配者が戦いに参加し、彼ら全員を倒すまで終わらないようにせよ、と告げます。フレイヤはその条件を受け入れ、首飾りを取り戻します。

エルリング王とソルリ

エルリングはノルウェーのウップランドの王であり、2人の息子ソルリとエルレンドがいました。ソルリとエルレンドはヴァイキングとして略奪に出かけ、エルヴァルスケルでシンドリとの戦いでエルレンドが命を落とします。その後、ソルリはバルト海へ向かいます。

ソルリのハールヴダン王殺害

デンマーク王ハールヴダンはロスキレに住んでおり、大フウェズナと結婚していました。彼らにはホグニとハーコンという息子がおり、2人とも優れた戦士でした。ソルリはデンマークでハールヴダン王を殺害し、彼の船を奪います。その後、ソルリはホグニに父の死について話し、和解を申し出ますが拒否されます。戦いの後、ソルリはホグニと兄弟の誓いを交わします。ソルリは後に東の地方で亡くなり、ホグニはその地の王となります。

ヘジンとホグニの永遠の戦い

セルクランドの王ヒャッランディには、ヘジンという息子がいました。ヘジンはホグニの強さを試すように促され、2人は兄弟の誓いを交わします。ヘジンはホグニの娘ヒルドと婚約しますが、その後、ホグニの妻を殺害し、ヒルダを誘拐します。ホグニはヘジンを捜し出し、2つの軍はハーという島で戦いを始め、143年間も続きます。この呪いは、オーラーヴ・トリュッグヴァソンが島に到着するまで解けませんでした。

呪いの解放

オーラーヴは島で戦う人々のことを知り、イーヴァルという戦士を送り込みます。イーヴァルはヘジンから呪いの話を聞き、ホグニを倒すために戦います。イーヴァルはホグニを背後から殺し、他の戦士たちも倒し、最後にヘジンを倒します。イーヴァルはヒルドを探しますが、彼女はいなくなっていました。オーラーヴが島を訪れたとき、戦いの跡は消え去り、イーヴァルの剣についた血だけが証拠として残りました。

『ソルリの話』は、北欧神話の要素を取り入れながら、キリスト教的な視点から過去の呪いを終わらせる物語として描かれています。

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