ソーフィッシュ (潜水艦)

ガトー級潜水艦USSソーフィッシュ(SS-276)：太平洋の狼煙

アメリカ海軍のガトー級潜水艦「ソーフィッシュ」は、1942年1月、メイン州で建造され、同年8月26日に就役しました。艦名はノコギリエイに由来します。就役後、太平洋へと向かい、苛烈を極めた太平洋戦争において、日本海軍の艦船や輸送船を相手に幾度となく危険な任務を遂行しました。

1～2回目の哨戒：最初の成功と誤認撃沈

1943年1月から6月にかけて行われた最初の2度の哨戒では、「ソーフィッシュ」は日本近海で活動しました。複数の艦船を攻撃し、撃沈あるいは損傷を与えたと報告されましたが、戦後の調査により、最初の哨戒では日本船への攻撃は成功していませんでした。2回目の哨戒では、輸送船「白海丸」と水雷艇「真鶴」を撃沈する戦果を挙げましたが、山本五十六元帥の遺骨を運ぶ「武蔵」を含む大型艦隊を追跡するも、悪天候により見失うという出来事もありました。最初の哨戒では、ソ連の貨物船を誤認し、撃沈するという痛ましい出来事も起こっています。当時の国際情勢と、艦長の判断の難しさを物語る出来事といえるでしょう。

3回目の哨戒：浅間丸への攻撃と、想定外の標的

1943年6月から8月にかけての3回目の哨戒では、東シナ海で活動しました。この期間、「ソーフィッシュ」は複数の船団を発見し、攻撃を試みました。その中には、日本郵船の「浅間丸」が含まれていましたが、実際には「西阿丸」という別の船に魚雷が命中し、航行不能となりました。これは、攻撃目標の誤認によるものです。「浅間丸」への攻撃は失敗に終わったものの、敵の輸送能力に打撃を与えることに成功したと言えるでしょう。

4～5回目の哨戒：新型魚雷と僚艦の損失

1943年9月から12月にかけて行われた4回目の哨戒では、「ワフー」と共に日本海に進出しました。この哨戒では、新型のMk18型電池魚雷を使用しましたが、多くの攻撃が失敗に終わりました。これは魚雷自体の問題であった可能性が指摘されています。「ワフー」は帰還を果たしませんでしたが、「ソーフィッシュ」は数々の攻撃をかわし、ミッドウェー島へ帰投しました。

5回目の哨戒では、小笠原諸島方面で活動し、複数の輸送船を発見して攻撃しました。その中で、特設運送船「山西丸」を撃沈する戦果を挙げました。この哨戒後、「ソーフィッシュ」は大規模なオーバーホールを受けました。

6～8回目の哨戒：ウルフパック作戦と、大戦終盤の激戦

1944年4月から11月にかけて行われた6～8回目の哨戒では、日本近海やルソン海峡方面で活動しました。複数のウルフパック作戦に参加し、輸送船や潜水艦を攻撃しました。特に、7回目の哨戒では、ドイツからの帰還途上の潜水艦「伊29」を撃沈しています。8回目の哨戒では、マタ28船団を攻撃し、タンカー「橘丸」を撃沈するなど、大きな戦果を挙げました。また、この期間、パイロットの救助活動も行っています。この頃、第38任務部隊による空襲が激しくなり、「ソーフィッシュ」も航空機の援護任務に参加しました。

9～10回目の哨戒：沖縄戦支援と終戦

1944年12月から1945年4月にかけての9～10回目の哨戒では、台湾近海や南西諸島方面で活動し、沖縄戦の支援を行う航空機の救助任務が中心となりました。攻撃機会はほとんどありませんでした。

戦後と終焉

終戦後、「ソーフィッシュ」は訓練任務などに従事した後、1946年に退役し、1960年にスクラップとして廃棄されました。第二次世界大戦の戦功により、8個の従軍星章を受章しました。

「ソーフィッシュ」の記録は、太平洋戦争における潜水艦戦の激しさと、その中で戦った乗組員の勇気と苦悩を伝える貴重なものです。様々な困難や試練を乗り越えながら、祖国のために戦い続けた「ソーフィッシュ」の物語は、後世に語り継がれるべき歴史の一部と言えるでしょう。

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