ゾラニ・テテ

ゾラニ・テテ

南アフリカ共和国、東ケープ州ムダントセーン出身のプロボクサー、ゾラニ・テテ（Zolani Tete）は、1988年3月8日に生まれました。サウスポーの彼は、IBF世界スーパーフライ級とWBO世界バンタム級の二つの階級で世界王者に輝き、特にバンタム級での世界最短KO記録樹立によって名を馳せました。

テテのプロキャリアは2006年5月29日にスタートし、デビュー戦で初回TKO勝利を飾りました。その後、2007年9月23日にはビッキー・タフミルとのWBF世界フライ級王座決定戦を制し、最初の世界タイトル（WBFは主要4団体ではない）を獲得。この王座を2度防衛した後、2009年にはWBOアフリカフライ級王座も手に入れています。

フライ級で主要団体への挑戦を目指したテテは、2010年2月26日に行われたIBF世界フライ級挑戦者決定戦でリチャード・ガルシアに判定勝利。王者モルティ・ムザラネへの指名挑戦権を得ました。しかし、同年9月1日のタイトル戦ではムザラネの前に5回TKOで敗れ、プロとして初めて黒星を喫しました。

階級をスーパーフライ級に上げたテテは、世界挑戦権を巡る厳しい戦いに直面します。2011年と2012年に立て続けに挑戦者決定戦で判定負けを経験しましたが、2013年11月30日、ファン・カルロス・サンチェス・ジュニアとの指名挑戦者決定戦では、ダウンを奪い合う激しい展開の末、10回KO勝利。日本の亀田大毅が保持していたIBF世界スーパーフライ級王座への挑戦権を獲得しました。

亀田大毅の王座返上を受け、2014年7月18日に神戸で行われたIBF世界スーパーフライ級王座決定戦で、同級6位の帝里木下と対戦。テテは優位に試合を進め、12回判定勝ちでIBF世界スーパーフライ級新王者となりました。初防衛戦は2015年3月6日、ポール・バトラーを相手に行われ、8回TKO勝利で見事防衛を果たしました。しかし、指名試合を前にした同年6月、IBF世界スーパーフライ級王座を返上することを決めました。

さらに階級を上げバンタム級へ。2017年4月22日、アーサー・ビラヌエバとのWBO世界バンタム級暫定王座決定戦に勝利し、2階級制覇を達成します。偶然にも同日、正規王者のマーロン・タパレスが体重超過で王座を剥奪されたため、テテはそのままWBO世界バンタム級正規王者に認定されました。

WBO王者としての初防衛戦で、テテはボクシング史にその名を刻みます。2017年11月18日、挑戦者のシボニソ・ゴニャに対し、試合開始からわずか11秒でKO勝利。これは1994年に記録された世界戦最短KO記録を23年ぶりに更新するものでした。その後、オマール・ナルバエス、WBSSバンタム級一回戦でミーシャ・アロイヤン相手に判定勝ちを収め、通算3度の防衛に成功しました。

World Boxing Super Series（WBSS）の準決勝に進出したテテでしたが、2019年4月に肩の故障のため欠場を余儀なくされます。長期ブランクを経て、同年11月30日には暫定王者ジョンリル・カシメロとの団体内王座統一戦に臨みましたが、3回TKO負けを喫し、王座から陥落しました。

その後、2022年7月2日にリングに復帰し、ジェイソン・カニンガムに4回KO勝利を収めましたが、この試合後にキャリアを暗転させる事態が発生します。ドーピング検査で陽性反応が検出されたと報じられ、同年11月には南アフリカのボクシングコミッションから出場停止処分が下されました。さらに、Bサンプルでも陽性反応が確認された結果、2023年8月には英国アンチ・ドーピング機構（UKAD）から禁止薬物スタノゾロールの使用を理由とする4年間の出場停止処分が科され、事実上、彼のプロボクシングキャリアは終焉を迎えました。

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