ゾラン・ミラノヴィッチ

ゾラン・ミラノヴィッチ：クロアチアの政治を牽引する大統領

ゾラン・ミラノヴィッチ（Zoran Milanović）は、1966年10月30日生まれ。クロアチアの政治家であり、現在は第5代クロアチア大統領を務めています。彼は首相（第10代）やクロアチア社会民主党党首も歴任しており、クロアチアの政治において重要な役割を果たしてきました。

生い立ちと初期の経歴

ザグレブで生まれたミラノヴィッチは、経済学者でユーゴスラビア共産主義者同盟の党員であった父と、語学講師の母を持つ家庭で育ちました。彼は自身のルーツについて、リヴノ（現在のボスニア・ヘルツェゴビナ）からの移民であると語っています。ザグレブ大学法学部を卒業後、研修期間を経て、1993年からクロアチア外務・欧州統合省に職員として勤務しました。1994年には医学生のサーニャ・ムシッチと結婚し、2人の子供をもうけています。

政界への進出

1999年、ミラノヴィッチはクロアチア社会民主党に入党し、政界への道を歩み始めます。彼は一時、党の報道官を務めたこともあります。2007年6月2日、長年党首を務めていたイヴィツァ・ラカンの辞任に伴い、臨時党大会が開かれました。党首選挙では数人の候補者がいましたが、最終的にイヴィツァの最側近であったジェリカ・アントゥノビッチとの一騎打ちとなります。結果、828票対625票でミラノヴィッチが党首に選出されました。その後の議会選挙で、クロアチア社会民主党は全153議席中56議席を獲得しました。世界金融危機の際には、政府の対応の遅れを批判し、十分な経済対策が講じられていないと指摘しました。

首相として

2011年11月の議会選挙で、社会民主党を中心とする連合が勝利し、全151議席中80議席を獲得しました。ミラノヴィッチは議会の承認を得て、2011年12月23日に首相に就任しました。首相として、彼は2014年に同性婚の権利を保証する生活パートナーシップ法を制定しました。また、2013年には長年の目標であった欧州連合への加盟を実現しました。

大統領として

2020年1月5日、ミラノヴィッチは大統領選挙でコリンダ・グラバル＝キタロヴィッチを破り、大統領に当選。同年2月19日に就任しました。しかし、大統領としての彼の行動は、時に物議を醸すこともあります。

2022年、ロシアとウクライナの間の緊張が高まる中、ミラノヴィッチはメディアのインタビューに対し、「クロアチアはウクライナ危機に全く関係がなく、有事の際にはいかなる軍隊も派遣しない」と発言しました。これに対し、ウクライナ外務省は激怒し、クロアチアが独立を支援した過去の関係を考慮し、「恥知らず」という厳しい言葉で非難しました。最終的には、プレンコビッチ首相が釈明することで事態は収束しましたが、この出来事は二国間関係に傷跡を残しました。

2024年12月28日の大統領選挙第1回投票では、得票率49％で1位となったものの、過半数には届かず、19％で2位のドラガン・プリモラツ元科学・教育・スポーツ相と共に決選投票に進みました。2025年1月12日の決選投票では、約75％の票を獲得して勝利を宣言し、再選を果たしました。

ゾラン・ミラノヴィッチは、クロアチアの政治において重要な役割を果たし続けている人物です。彼の政策や発言は、国内外に大きな影響を与えており、今後の動向にも注目が集まっています。

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