タイガー131

タイガー131：唯一走行可能なティーガーIの軌跡

タイガー131は、第二次世界大戦中にドイツで製造されたティーガーI戦車です。1943年に北アフリカ戦線でイギリス陸軍に鹵獲され、現在はイギリス・ドーセット州のボービントン戦車博物館に保存・展示されています。現存するティーガーIの中で、唯一走行可能な状態を保っている貴重な車輌です。

ドイツ軍での運用

タイガー131は、車体はヘンシェル社、砲塔はWegmann A社によって製造されました。1943年2月に車体番号250112としてドイツ陸軍に引き渡され、イタリアを経由してチュニジア戦線に送られました。第504重戦車大隊第1中隊第3小隊に配備され、砲塔番号131を与えられました。この番号が、現在この車輌が「タイガー131」と呼ばれる由来となっています。

鹵獲の経緯

1943年4月21日（または24日）、ロングストップヒルの戦いの予備段階において、タイガー131はジェベル・ジャファで撃破・鹵獲されました。戦闘中、第48王立戦車連隊A大隊第4中隊所属のチャーチル歩兵戦車と交戦し、6ポンド砲弾3発を受けました。最初の砲弾は砲身に当たり、跳弾して砲塔リングを損傷させ、旋回不能に陥らせました。また、操縦手と前方機銃手を負傷させました。2発目は砲の俯仰装置を破壊し、3発目は装填手ハッチに命中して砲塔内に破片を散乱させました。乗員は負傷者を連れて脱出しましたが、車輌自体はほぼ無傷で残されました。タイガー131は、イギリス軍およびアメリカ軍にとって、無傷で鹵獲に成功した最初のティーガーIとなりました。

鹵獲後、タイガー131の英国本土輸送を監督したダグラス・リダーデール工兵少佐が、ウィンストン・チャーチル首相の特命により、連合国軍がタイガー戦車の情報を獲得するための秘密作戦に従事していたという説がありましたが、ボービントン戦車博物館によって否定されています。

保存と修復

鹵獲後、タイガー131は他のティーガーIの残骸から回収された部品で修理され、性能試験が行われました。チュニスで展示された際には、国王ジョージ6世やチャーチル首相も視察に訪れています。1943年10月には英国本土に輸送され、戦意高揚のために各地で展示された後、戦車技術学校で試験および分析が行われました。1951年9月25日に軍需省からボービントン戦車博物館に寄贈され、展示品となりました。

1990年、博物館と陸軍基地修理機構によるレストア作業のため、展示から一時撤去されました。この際、タイガー131はほぼ完全に解体されました。元々搭載されていたマイバッハHL210エンジンは断面展示用に切断されていたため、キング・タイガー重戦車から取り外されたマイバッハHL230エンジンが代わりに搭載されました。また、エンジン部には現代的な消火システムが追加されました。2003年12月、レストア作業を終えたタイガー131は展示に復帰しました。修復には総額80,000ポンドが費やされました。

映画出演

2014年の映画『フューリー』では、主人公らと対峙するドイツ戦車役として登場し、実物のティーガーIが長編映画に出演する貴重な機会となりました。

関連情報

フューリー：出演作品
World of Tanks：ゲーム内にタイガー131をモデルにした特別車両が登場

タイガー131は、その歴史的価値と貴重な走行可能な状態から、ボービントン戦車博物館で最も人気のある展示の一つとなっています。

Sd Kfz 181 Panzerkampfwagen VI Ausf E (E1951.23) ボービントン戦車博物館

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