タイトルバー

タイトルバーとは

タイトルバーとは、ウィンドウシステムにおけるウィンドウの最上部に配置される横長の矩形領域のことです。グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を持つ多くのオペレーティングシステム（OS）やウィンドウマネージャで、アプリケーションウィンドウやダイアログボックスの最上部に表示されます。

主な役割は、ウィンドウの内容をテキストで表示し、ウィンドウを区別することです。また、「閉じる」「最小化」「最大化」といったシステムコマンドボタンを表示し、ウィンドウ操作を可能にします。タイトルバーの描画は通常、ウィンドウシステムが行いますが、一部のシステムではアプリケーションが独自に描画をカスタマイズできます。

タイトルバーの表示内容

テキストエディタや画像ビューアでは、編集中または閲覧中のファイル名がタイトルバーに表示されることが多いです。Single Document Interface (SDI) 形式のアプリケーションでは、ファイル名の前後にアプリケーション名が付加されることが一般的です。Multiple Document Interface (MDI) 形式のアプリケーションでは、子ウィンドウにドキュメントのタイトル、親ウィンドウにはアクティブなドキュメントのタイトルとアプリケーション名が表示されることがよくあります。

ドキュメントが編集され、まだ保存されていない場合、タイトルバーにはアスタリスク（）が表示され、変更されたことを示します。また、かつてのウェブブラウザでは、表示中のウェブページのHTML要素のtitle要素の内容が表示されていました。

Microsoft Windowsでは一般的に「タイトルバー」と呼ばれますが、「キャプションバー」という用語が使われることもあります。ChromeOSでは、タイトル文字列は表示されず、「ウィンドウコントロールバー」や「トップバー」といった名称が用いられます。

タイトルバーの機能

タイトルバーには、ウィンドウに対する基本的な命令を実行するためのシステムボタンが備わっています。例えば、ウィンドウを閉じるためのボタンはその代表的な例です。

Microsoft Windowsでは、主要なシステムボタンは右端に配置されています（左から右に読む言語の場合）。macOSでは、システムボタンは左端に配置されています。ChromeOSでは、主要なシステムボタンは右端に配置されていますが、Androidの戻るボタンに相当する矢印ボタンが左端に配置されています。

また、Microsoft Visual Studioのように、タイトルバー上に検索ボックスが設けられていることもあります。

ウィンドウの移動とリサイズ

macOSやMicrosoft Windowsを含む多くのウィンドウシステムでは、タイトルバーをドラッグすることでウィンドウを移動できます。また、ウィンドウの縁をドラッグするとサイズを変更できます（リサイズ可能なウィンドウの場合）。Windows 7以降では、Aeroスナップによりドラッグ操作でウィンドウの最大化や整列も可能です。

タイトルバーをダブルクリックしたときの動作は環境によって異なります。Windowsでは「最大化」と「元に戻す」が切り替わります。macOSでは、以前はDockに格納される動作でしたが、現在は設定によりウィンドウの拡大/縮小動作に変更できます。

各環境における詳細

Microsoft Windows

Windowsのタイトルバーには、「最小化」「最大化/元に戻す」「閉じる」ボタンが備わっています。これらのボタンにマウスカーソルを合わせると、ツールチップが表示されます。ボタンはウィンドウによっては表示されない、または無効になっている場合があります。

モーダルダイアログでは、最小化ボタンが表示されることはあっても有効にはなりません。メッセージや選択肢を表示するだけのシンプルなモーダルダイアログでは、リサイズが禁止されていることが多く、閉じるボタンのみが表示されるか、ボタンが一切表示されないこともあります。

Windows Presentation Foundation (WPF) やWindows UI Library (WinUI) のドキュメントでは、これらの3つのボタンをまとめて「キャプションボタン」と呼んでいます。タイトルバーを右クリックすると、ウィンドウメニュー（システムメニュー）が表示され、同様のシステムコマンドを実行できます。

Windows 95以降では、Marlettというシステムフォントに収録された特殊なグリフが、タイトルバー上の各ボタンのアイコンとして使用されていました。Windows XPで採用されたビジュアルスタイルでは、このフォントは使われなくなりました。

左から右に読む言語の場合、キャプションボタンは右端に配置されますが、右から左に読む言語の場合、キャプションボタンは左端に配置されます。3つのキャプションボタンの並び順も逆になります。

キャプションボタン

便宜上、最小化・最大化/元に戻す・閉じるボタンをまとめて「キャプションボタン」と呼びます。

最小化ボタン: ウィンドウをタスクバーに格納します。アンダースコアやマイナス記号に似たアイコンが使われています。
最大化/元に戻すボタン: 状況に応じて名称と機能が変わるトグルボタンです。
最大化ボタン: ウィンドウをデスクトップ全体に広げます。単一の四角形のアイコンが使われています。
元に戻すボタン: 最大化されたウィンドウを元のサイズに戻します。2つの四角形を重ねたアイコンが使われています。
閉じるボタン: ウィンドウを閉じます。メインウィンドウの場合はアプリケーションが終了しますが、常駐アプリの場合はシステムトレイに格納されるだけの場合もあります。「×」マークのアイコンが使われています。

その他のボタン

ヘルプボタン: キャプションボタンのすぐ左に配置されていることが多いです。「？」マークのアイコンが使われています。状況に応じたヘルプを表示しますが、現在は廃止が進んでいます。
アプリケーションのアイコン: デスクトップアプリのタイトルバー左端に表示されます。シングルクリックでシステムメニューが表示され、ダブルクリックでウィンドウを閉じることができます。
Microsoft Officeボタン: Office 2007で導入された円形のボタンです。ファイルオープン、新規作成、保存、印刷などのコマンドが配置されていましたが、Office 2010以降では「ファイル」タブに変更されました。

macOS

macOSでは、タイトルバーに「閉じる」「最小化」「フルスクリーン/フルスクリーン解除」ボタンが備わっています。これらのボタンにマウスカーソルを合わせると、ボタンの機能を示すアイコンが表示されます。閉じるボタンを押してもアプリケーションを終了することはできず、メニューバーから終了する必要があります。

タイトルバーの右クリックは一部のアプリケーションが対応していますが、Windowsのようなウィンドウ制御を行うコンテキストメニューは表示されません。

ボタン

閉じるボタン: 左側の赤いボタンです。ウィンドウを閉じますが、アプリケーションは終了しません。「×」マークのアイコンが使われています。
最小化ボタン: 中間の黄色いボタンです。ウィンドウをDockに格納します。アンダースコアやマイナス記号に似たアイコンが使われています。
フルスクリーン/フルスクリーン解除ボタン: 右側の緑色のボタンです。
フルスクリーンボタン: ウィンドウを全画面表示にします。
フルスクリーン解除ボタン: 全画面表示を解除して、ウィンドウを元のサイズに戻します。

オプションキーを押しながらマウスオーバーすると、以下のボタンに切り替わります。

拡大ボタン: Windowsの最大化に似た表示で使用できます。プラス記号に似たアイコンが使われています。
縮小ボタン: 拡大表示を解除し、ウィンドウのサイズを元のサイズに戻すことができます。

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