タイバジル

タイバジル（Thai basil）について

タイバジルは、東南アジア原産の独特なバジルで、その特異な味わいと香りから多くの地域で広く栽培されています。タイでは「ホーラパー」や「ホーリーバジル」、ベトナムでは「フンクエー」と呼ばれ、さらに台湾では「九層塔」として知られています。特徴的なアニスやリコリス（スペインカンゾウ）に似た香りを持ち、スイートバジルに比べて調理中の熱に強いのが特徴です。また、タイバジルは小柄でありながらも頑丈で、深みのある紫色の茎と光沢のある細長い緑色の葉を持ちます。花は、開花時に桃色を呈する美しい紫色の密錐花序です。

概要

タイバジルは、成長した際に約45センチメートルほどの高さになり、小さいながらもその存在感は力強いものがあります。葉は光沢のある緑色で、鋸歯状の形状を持っています。アニスのような甘い香りに加え、わずかなスパイシーさもあり、これが料理に特徴的な風味をもたらします。また、茎は特有の紫色で、他のシソ科植物と同じく四角い形状をしています。葉は十字対生しており、その美しい花序が視覚的な魅力を引き立てています。

分類と名称

タイバジルはスイートバジルの一種ですが、その香りから「anise basil」や「licorice basil」とも呼ばれます。ただし、これらの名前が指す植物はしばしば西洋のバジルとは異なるため注意が必要です。また、ベトナムでは「シナモンバジル」を意味する名称でも捉えられますが、これは通常は別のバジル品種を指します。タイバジルは匂いを表すギリシャ語「Ocimum」に由来しており、その豊かな香りのためにシソ科の他の品種とは一線を画しています。

利用

タイバジルは、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなど、幅広い東南アジアの料理で頻繁に使用されます。その葉は特にグリーンカレーやレッドカレーの材料として欠かせない存在です。ただし、タイにはホーリーバジルというもう一つの人気の品種も存在し、こちらは辛味や香りが強い特徴があります。西洋では、これらの料理を作る際によくタイバジルが選ばれる傾向にあります。台湾料理では、三杯鶏の重要な材料としても知られ、フォーやブンボーフエ、バインセオなどのベトナム料理には、生のタイバジルが添えられます。

栽培

タイバジルは多年草ではあるものの、一般には一年草として扱われます。暖かい気候を必要とし、特に霜が降りない地域での栽培が求められます。アメリカ合衆国農務省の耐寒性ゾーンでは10に分類されており、育成にはpH6.5から7.5の肥沃で水はけの良い土壌と、1日当たり6〜8時間の日照が必要です。花が咲くと葉に苦味が生じる場合があるため、定期的に花を摘み取ることが推奨されます。また、定期的に葉を摘むことで再成長を促し、継続的に収穫可能です。

タイバジルは、アジア料理を作る上で欠かせない重要な食材であり、その豊かな風味と利用範囲から、多くの料理に深い味わいを加える存在として重宝されています。

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