タイファ

タイファ：イベリア半島のイスラム小王国群

タイファ（Taifa）は、11世紀にイベリア半島（アンダルス）に存在したイスラム教の小王国群、およびその君主を指す言葉です。アラビア語の「ターイファ（ṭāʾifa）」に由来し、「分立した集団」や「部族集団」といった意味合いを持ちます。

タイファ成立の背景

1031年、後ウマイヤ朝が滅亡すると、イベリア半島は政治的に分裂し、各地にタイファと呼ばれる小王国が誕生しました。これらのタイファの起源は、後ウマイヤ朝の行政区分や、アラブ人、ベルベル人、ムラディ（イベリア半島のイスラム教徒）、サカーリバ（ヨーロッパ人奴隷）といった多様な民族構成に求められます。

タイファの時代

タイファ諸国が分立した時代は、大きく3つの時期に分けられます。

第一次タイファ時代 (11世紀前半)：後ウマイヤ朝の崩壊後、各地に多くのタイファが誕生した時代です。
第二次タイファ時代 (12世紀半ば)：ムラービト朝の衰退後、再びタイファが分立した時代です。
第三次タイファ時代 (13世紀)：ムワッヒド朝の衰退後、再びタイファが乱立した時代ですが、レコンキスタの進展により、その多くがキリスト教国に征服されました。

タイファ諸国は、互いに軍事力や文化的な名声を競い合いました。アミールたちは、詩人や芸術家を招き、文化の発展に貢献しました。しかし、軍事力は弱体で、キリスト教国に貢物を納めて臣従する状況も見られました。

北アフリカ勢力の介入

タイファの君主たちは、キリスト教国との戦いにおいて、北アフリカのムラービト朝やムワッヒド朝といったイスラム勢力に支援を求めました。しかし、これらの勢力はタイファを支配下に置き、自らの版図に組み込んでいきました。

レコンキスタとタイファの終焉

キリスト教国によるレコンキスタが進展するにつれて、タイファ諸国は次々と征服されていきました。1251年には、グラナダのナスル朝を残すのみとなりました。ナスル朝もカスティーリャ[[王国]]に臣従することで存続しましたが、1492年にスペイン王国によって征服され、タイファの時代は完全に終焉を迎えました。

タイファの主な王朝と国

アフタス朝（バダホス王国）
ズンヌーン朝（トレド王国）
アーミル朝（バレンシア[[王国]]）
アッバード朝（セビリア王国）
トゥジービー朝、フード朝（サラゴサ王国）
ズィーリー朝（グラナダ王国）
ジュフール朝（コルドバ王国）

この他にも、アルバラシン、アルメリア、アルプエンテ、アルコス、アルヘシラス、アルホナなど、多数のタイファが存在しました。

タイファの時代は、イベリア半島のイスラム文化が爛熟した時代であると同時に、キリスト教国によるレコンキスタが進展し、イスラム勢力が衰退していく時代でもありました。

関連項目

スペインの歴史
レコンキスタ
ムラービト朝
ムワッヒド朝

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