タカネコウリンカ

タカネコウリンカ（高嶺高輪花、学名：Tephroseris takedana）

タカネコウリンカは、日本に自生する多年草で、キク科オカオグルマ属に分類されています。学名の「takedana」は、著名な植物学者である武田久吉への敬意を表して付けられたものです。この種は、特に高山帯の乾燥した草地や礫地で見られ、亜高山帯の石灰岩地でも生育することがあります。

特徴

タカネコウリンカは、直立した単一の茎を持ち、高さはおおよそ15センチから40センチになります。茎には細かいクモ毛が全体に生えています。葉は根生葉と下部の茎葉があり、5から12センチの長さ、1.5から3センチの幅の卵状へら形をしています。葉の縁には浅い鋸歯があり、基部は茎を抱くように広がっています。また、根生葉は長い葉柄を持つ点が特徴です。

花は直径2から2.5センチの頭花が数個集まった散房状の形を de しており、総苞は長さ0.7から1センチの筒形で黒紫色をしています。総苞の基部には苞葉が存在し、これが高原に生育する他のコウリンカ種と似た特徴です。ただし、舌状花は橙黄色で7から8個あり、完全には開かず、短めです。筒状花は橙赤色をしており、長さ4ミリメートル、幅2ミリメートルとなっています。花期は主に7月下旬から8月にかけてです。種子（痩果）は有毛の円柱形で長さ4ミリメートル、冠毛は6から7ミリメートルです。

分布と生育環境

この植物は日本の固有種であり、主に本州の中部地方に分布しています。具体的には、奥志賀、湯ノ丸山、飛騨山脈、八ヶ岳、赤石山脈、埼玉県などに見られます。基準標本は八ヶ岳にて採取されました。

タカネコウリンカは主に亜高山帯上部から高山帯にかけての乾いた草地や礫地に生育し、特に石灰岩地に生息することがあるため、その生態系での役割も重要です。また、ヤガ科のミヤマセダカモクメの幼虫がこの植物を食草としていることも知られています。

保全状況

環境省によるレッドリストでは、タカネコウリンカは準絶滅危惧（NT）として指定されています。この植物は、特に上信越高原国立公園や中部山岳国立公園などの保護地域で保護対象とされています。さらに、各種地方自治体でも絶滅危惧の指定を受けており、埼玉県では絶滅危惧IA類、新潟県や山梨県では絶滅危惧II類、富山県、長野県、静岡県では準絶滅危惧に分類されています。これらの地域では、ニホンジカによる影響で近年生育環境が大きく変わっているため、さらなる保護が必要とされています。

このように、タカネコウリンカは貴重な植物であり、その生態や分布、保護状況に関心を持つことが重要です。

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