タカネナデシコ

タカネナデシコ（高嶺撫子）

タカネナデシコ（学名：Dianthus superbus var. speciosus）は、ナデシコ科ナデシコ属に分類される多年草です。カワラナデシコの変種であり、高山帯に生育する植物として知られています。

特徴

タカネナデシコの茎は直立し、高さは15cmから40cm程度に成長します。葉は長さ3～7cm、幅2～5mmで、茎に対生します。花は茎の先端に1～3個つき、直径4～5cmの紅紫色をしています。花弁は5枚で、先端が細かく裂けているのが特徴です。開花時期は7月から9月で、夏から初秋にかけて美しい花を咲かせます。雄しべは10個あり、萼の基部には2対の苞があります。

分布

タカネナデシコの分布域は広く、ユーラシア大陸北部と、日本では北海道から中部地方以北の高山帯に分布しています。主に岩礫地や草地に生育し、高山の厳しい環境に適応しています。基準標本はドイツで採取されたものです。植物学者の田中澄江は、著書『花の百名山』の中で、斜里岳を代表する花の一つとしてタカネナデシコを紹介しています。

近縁種

日本には、タカネナデシコの他にもナデシコ属の植物が生育しています。

シロバナタカネナデシコ (Dianthus superbus var. speciosus f. chionanthus)：タカネナデシコの白花品種です。
エゾタカネナデシコ (D. s. var. speciosus f. bibracteatus)：苞が1対しかない品種です。
カワラナデシコ (D. s. var. longicalycinus)：低地や山地に分布するタカネナデシコの変種です。

これらの近縁種とともに、ナデシコ属の多様性を示しています。

種の保全状態評価

タカネナデシコは、その美しい姿とは裏腹に、生育環境の変化や開発の影響により、各地で個体数が減少しています。そのため、多くの都道府県でレッドリストに指定され、保護対策が講じられています。

危急種（絶滅危惧Ⅱ類（VU)）：秋田県、岩手県
準絶滅危惧（NT)：石川県

また、環境省によって、上信越高原国立公園、中部山岳国立公園、南アルプス国立公園、白山国立公園など、複数の国立公園で自然公園指定植物として指定されています。これらの指定は、タカネナデシコの保全において重要な役割を果たしています。

関連画像

[タカネナデシコの画像1]

[タカネナデシコの画像2]

[タカネナデシコの画像3]

脚注

[外部リンクへの参照]

“Dianthus superbus L.”* (英語). ITIS. 2011年10月7日閲覧。

もう一度検索