タニノチカラ

タニノチカラとは

タニノチカラ（1969年4月14日 - 1980年4月10日）は、日本の競走馬及び種牡馬で、多くの競馬ファンから長年愛されてきた存在です。1971年に中央競馬デビューし、数度の骨折を経て1973年にその名を広め、同年の天皇賞（秋）で優勝を果たしました。翌年には有馬記念も制覇し、2年連続で優秀な成績を収めたタニノチカラは、競馬界でその名を刻むことになりました。

生い立ちとデビュー

タニノチカラは、1969年に北海道静内町のカントリー牧場で生まれました。その父はフランスから輸入されたブランブルーで、母タニノチエリは競走馬としての実績はありませんが、彼の半兄タニノムーティエが1970年の皐月賞や東京優駿を制しており、姉弟揃って高い期待をかけられました。彼は1971年の9月に阪神でデビューし、最初のレースでは3位となりましたが、続くレースで初勝利を収めました。

デビューから順調に成績を重ねていたタニノチカラでしたが、競走中に骨折し、しばらくの間休養を余儀なくされました。この間、馬主である谷水信夫が急逝し、所有権は息子の谷水雄三に引き継がれました。

戦績と競走人生

1973年に復帰したタニノチカラは、田島日出雄騎手のもとで新たな戦法を採用し、数々のレースで好成績を収めていきます。初戦の重賞・朝日チャレンジカップでは、2着に2馬身差をつけて勝利を果たし、続くハリウッドターフクラブ賞でも強い競馬を展開し、見事に重賞2連勝を達成しました。その後、11月の天皇賞（秋）では、当日1番人気のハクホオショウに競り勝ち、念願の優勝を果たしました。このレースは彼にとっても、田島騎手にとっても特別な意味を持つものでした。

その後、有馬記念に出走しますが、結果は4着と悔しいものでした。それでも、その年の最優秀5歳以上牡馬に選ばれるなど、その成績は高く評価されました。1974年には京都記念での改めての挑戦や大阪杯においてもファンの期待を背負い、見事な走りを見せました。

引退と種牡馬時代

1975年、タニノチカラは京都記念で圧勝したものの、その後の筋肉痛により、マイラーズカップには出走できず、そのまま引退を余儀なくされました。競走成績は通算24戦13勝と非常に素晴らしいものであり、その後は種牡馬としてカントリー牧場で生活を始めました。しかし1980年、種付け中に突然倒れ、12歳の若さで亡くなりました。彼の世代には重賞勝ちの産駒が少なく、後に馬主となった谷水雄三は新たな馬を牧場に導入するも、良好な経営は続きませんでした。

競走馬としての評価

タニノチカラの走行フォームは独特で、「鼻面が地面に届きそう」という表現がされるほどでした。元々は追い込み型とも言われていましたが、厩務員の見解として「実は差し馬だった可能性もあった」と語る者もいます。八大競走で2勝を達成したにもかかわらず、彼の強さに対する評価は非常に高く、後に行われた競馬関係者アンケートでも、多くの支持を集めました。特に「脚が強ければシンボリルドルフに匹敵する」との声が多く聞かれ、競馬の歴史に名を刻んでいる存在です。タニノチカラは、その競争における魅力と共に、今もなお多くの競馬ファンにとって思い出の存在となっています。

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