タニノムーティエ

タニノムーティエ

概要

タニノムーティエ（1967年5月9日 - 1991年2月9日）は日本の著名な競走馬および種牡馬であり、1969年に中央競馬にデビューしました。デビューから短期間で関西の3歳王者となり、皐月賞と東京優駿（日本ダービー）を制覇しました。しかし、呼吸疾患の影響で三冠達成には至らず、1991年に25歳で亡くなるまで競馬界に多大な影響を与えました。

生い立ち

タニノムーティエは北海道静内町のカントリー牧場で生まれました。父はフランスから輸入されたムーティエで、競走馬としてはダリュー賞とオカール賞を勝利しました。母はタニノチエリという不出走馬で、彼の幼名は「ムーティシュヴァリー」と呼ばれていました。カントリー牧場は実業家の谷水信夫によって設立され、馬の鍛錬に特化した環境が整えられています。デビュー前のタニノムーティエは目立たない馬とされていましたが、その心肺機能と独特な走法により、牧場の期待を背負うことになりました。

競走成績

タニノムーティエは1969年7月18日に函館でデビューし、以降のレースで連勝を重ねました。初の重賞においては、他馬に挟まれる不利を受けたものの、デイリー杯3歳ステークスでついに優勝を果たし、その名を広めました。特に、阪神3歳ステークスでの優勝は彼の名声を確立し、関西の3歳王者の地位を獲得しました。

春クラシック

翌1970年には春クラシックの皐月賞に挑戦し、アローエクスプレスとの激闘が繰り広げられます。アローエクスプレスとの対戦は「A・T対決」として知られ、その盛況ぶりは多くの競馬ファンを魅了しました。皐月賞ではかろうじて優勝し、続く日本ダービーでも勝利を収めました。

喘鳴症と引退

ダービー後、タニノムーティエは喘鳴症を発症し、競走能力に影響を及ぼしました。放牧中の環境やストレスが原因とされ、その後復帰したレースでも苦戦を強いられました。菊花賞を前に引退が検討されましたが、谷水の意向から出走しましたが、結果は失敗に終わり、引退が決まりました。引退式では彼の才能を惜しむ声が多く寄せられました。

種牡馬としての活動

引退後は種牡馬として静内種畜場で過ごしました。初年度から交配し、一部の産駒が勝利を収めましたが、数年後には成績が低迷し、その後の移動を余儀なくされました。ライバルのアローエクスプレスが成功を収める中、タニノムーティエは期待ほどの成績を残せず、その影響でカントリー牧場も不振をきたしました。

終焉

1991年2月9日、タニノムーティエは老衰で他界しました。同年の2月末にはライバルのアローエクスプレスも亡くなり、名馬の時代が幕を閉じることとなりました。タニノムーティエは現代競馬における重要な存在として、多くのファンに記憶されています。

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