タパ

タパは、オセアニアのポリネシア、メラネシア、ミクロネシアといった地域で、古くから作られてきた樹皮布です。これは、樹木の皮を加工して作られる布であり、織る工程がないため、不織[[布]]に分類されます。タパは地域によって様々な呼び名があり、ハワイでは「カパ」、トンガでは「ンガトゥ」、フィジーでは「マシ」、サモアでは「シアポ」と呼ばれています。また、タパ布とも称されることがあります。

原料と起源

タパの主な原料は、クワ科のカジノキです。その他、パンノキやイチジクなども用いられますが、特にカジノキが最も一般的です。カジノキは、移民によってポリネシア全域に広がり、タパの製作に欠かせない材料となりました。

タパは植物性の素材で作られており、劣化しやすいため、考古学的な資料はあまり残っていません。そのため、タパの起源を正確に特定するのは困難です。しかし、ペルーで発見されたタパの断片は、紀元前4000年頃のものとされており、非常に古い歴史を持っていることがわかります。また、日本では正倉院に「木綿（ゆふ）」と呼ばれるタパが伝存しており、これは古代に幣帛として用いられていたと考えられています。

製法

フィジーやポリネシアにおけるタパの一般的な製法は、以下の通りです。

1. 樹木から樹皮を剥ぎ取ります。
2. 剥ぎ取った樹皮を水に浸し、柔らかくします。
3. 柔らかくなった樹皮の表面をやすりで削り取り、内側の皮（内皮）を使います。
4. 内皮を棒で叩いて薄く延ばします（この工程はタパ打ちと呼ばれます）。
5. 延ばした内皮を天日で乾燥させます。
6. 大きなタパを作る場合は、糊を使って複数の内皮をつなぎ合わせます。
7. つなぎ合わせたタパを再度乾燥させます。
8. 最後に、型染めなどの方法で染色を施します。

一方、ニューギニアなどのメラネシア地域では、複数の樹皮を接合することはなく、一本の樹皮から一枚のタパを作ります。また、彩色は氏族に伝わるモチーフや模様を手描きで施すのが特徴です。

タパの多様性

タパは、その製法や模様、用途において、地域ごとに多様なバリエーションが見られます。例えば、模様は、幾何学的なものから、動植物をモチーフにしたものまで様々です。また、タパは、衣服として使われるだけでなく、儀式や祭礼、装飾品など、様々な用途で用いられてきました。タパは、その土地の文化や歴史を反映する、重要な文化的遺産と言えるでしょう。

タパは、現代においても、伝統工芸として製作されており、その技術は後世に受け継がれています。タパの美しさや、その背後にある文化に触れることで、オセアニアの豊かな歴史と文化をより深く理解することができるでしょう。

関連事項

タパに関連する技術や文化として、以下のものがあります。

フェルト: 羊毛などの繊維を絡めて作る布。
樹皮紙: 樹皮を原料とする紙。
タパ職人: タパを制作する職人。
マウアトゥア: タパ制作の儀式。
* テラウラ: タパの模様。

タパは、単なる布ではなく、オセアニアの人々の生活や文化に深く根付いた、重要な存在であることがわかります。

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