タルシシュ

タルシシュ（Tarshish）

タルシシュは、古代の聖書に登場する地名であり、その語源は「精錬所」を意味するとされています。この地は、豊富な金属資源を産出する場所として広く知られていました。タルシシュが具体的にどの場所を指すのかについては、複数の説が存在しています。

候補地

有力な候補地としては、以下の二つが挙げられます。

1. トルコのタルスス説: 地中海沿岸に位置するトルコの都市タルススが、タルシシュの有力な候補地の一つとされています。この説は、タルススが古代から重要な交易拠点であったこと、そして付近で金属資源が産出されていたことに基づいています。
2. スペインのタルテッソス説: スペイン南部のタルテッソスも、タルシシュのもう一つの候補地として提唱されています。タルテッソスは、古代フェニキア人と交易を行っていたとされており、豊富な金属資源を持っていたことが知られています。

聖書におけるタルシシュ

聖書には、タルシシュはヤペテの子孫であるヤワンの子孫、タルシシュ族が居住した場所として記されています。また、タルシシュは銀、金、鉄、錫、鉛などの産地、加工地として広く知られていました。ソロモン王の時代には、フェニキアの都市国家ツロを仲介としてタルシシュと交易が行われており、ツロは「タルシシュの娘」と言われるほど密接な関係にありました。この交易のために大型の船が建造され、大規模な商船隊が組織され、「タルシシュ船団」と称されました。この「タルシシュ船団」という言葉は、「大掛かりな交易船団」を指す慣用表現としても使われるようになりました。

預言書におけるタルシシュ

預言書の中にも、タルシシュの名前が登場します。預言者イザヤは、神の優越性が「タルシシュのすべての船と望ましいすべての小船とに臨む」と記しています。また、預言者ヨナは、神の召命に背いてタルシシュ行きの船に乗り込み、その結果、大嵐に遭ったという話は有名です。これらの記述から、タルシシュが古代において重要な場所であったことが伺えます。

その他

火星の巨大な火山台地であるタルシスは、このタルシシュにちなんで命名されました。

まとめ

タルシシュは、聖書に登場する重要な地名であり、古代の交易や金属資源との結びつきが深い場所でした。その具体的な場所については複数の説がありますが、いずれにしても、タルシシュは古代社会において重要な役割を果たしていたと考えられます。

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