タロス (ミサイル)

RIM-8 タロス：アメリカ海軍の長距離艦対空ミサイル

RIM-8 タロスは、アメリカ海軍がかつて運用していた長距離艦対空ミサイルです。主契約社はベンディックスで、ビームライディング誘導方式を採用していました。推進には、通常の固体燃料ロケットとベンディックス製のラムジェットエンジンを組み合わせて使用していました。

ミサイルの名称について

タロスという名称は、ギリシア神話に登場する青銅の巨人「タロス」に由来します。この名称からも、このミサイルの巨大さや強力さが連想されます。

開発の経緯

タロスは、アメリカ海軍の艦対空ミサイル開発計画「バンブルビー計画」に基づいて開発されました。この計画の中で最優先事項の一つでしたが、運用開始はテリアミサイルよりも遅れて1958年となりました。当初の名称はSAM-N-6でしたが、1968年にRIM-8に改称されました。

システムの特徴

タロスは、ミサイル自体が大型であることに加え、Mk-12二連ランチャーや46発の弾倉など、システム全体が非常に大型でした。そのため、搭載できる艦船は限られていました。実際に搭載されたのは、原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」やボルチモア級重巡洋艦の3隻、そしてクリーブランド級軽巡洋艦の3隻（軽量化されたもの）に限られました。

搭載艦

アメリカ海軍

原子力ミサイル巡洋艦「ロング・ビーチ」
オールバニ級ミサイル巡洋艦
ガルベストン級ミサイル巡洋艦

これらの艦船は、タロスの巨大なシステムを搭載できるように設計・改造されました。

仕様（RIM-8G）

出典：Designation-Systems.Net

全長: 9.75 m
本体長: 6.40 m
ブースター長: 3.35 m
翼幅: 2.80 m
直径: 0.71 m
ブースター直径: 0.76 m
発射重量: 3,530 kg
本体重量: 1,540 kg
ブースター重量: 1,990 kg
機関:
第1段（ブースター）：MK 11 固体燃料ロケット・モーター
第2段（サステナー）：ベンディックス ラムジェット・サステナー
最大速度: マッハ2.5
到達高度: 24,400 m
射程: 185 km（RIM-8Aは92 km）
弾頭:
コンティニュアス・ロッド高性能炸薬弾頭 136 kg
W30核弾頭（核出力：2 - 5 kt）

特記事項

タロスは、その長射程と強力な弾頭により、当時のアメリカ海軍にとって重要な防空手段でした。特に、核弾頭を搭載できる能力は、戦略的な抑止力としても機能しました。しかし、その大型さ故に搭載できる艦船が限られ、運用には高度な技術と設備が必要とされました。また、その運用期間は比較的短く、後継のミサイルにその役割を譲りました。

関連情報

関連項目
RIM-2 テリア
RIM-24 ターター
* アメリカ合衆国のミサイル一覧

タロスは、その巨大さと先進的な技術から、ミサイル開発史における重要な一例として記憶されています。

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