タワーフ

タワーフについて

タワーフは、イスラームにおける重要な儀式であり、特にハッジやウムラの際に行われます。この儀式では、信者たちがイスラームの聖地であるカアバ神殿を反時計回りに7周回ります。この行為は、神への崇拝と信者同士の結束を象徴しており、多くのムスリムにとって特別な意味を持っています。

儀式の流れ

タワーフは、黒石（al-Ḥajar al-'Aswad）の周囲から始まります。信者は、可能な限り黒石に触れたり接吻したりすることが望まれていますが、周囲の人々の多さからそれが難しい場合、手を黒石の方にかざすだけでも構いません。また、周回する際には、「タクビール」という神を讃える声を上げることが推奨されています。

最初の3周は、比較的速いペースで回ることが求められ、続く4周ではゆっくりとしたペースで回ります。この後、信者はアブラハムの御立ち処に移動し、2ラカートの祈りを捧げ、聖なるザムザムの泉の水を飲んで次の儀式に進みます。タワーフは、ハッジの儀式の一環として、少なくとも2回行うべきとされています。

タワーフの種類

タワーフにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる目的を持って行われます。以下は主な種類です。

• - タワーフ・アル＝クドゥーム (Ṭawāf al-Qudūm): メッカに到着した際に行います。
• - タワーフ・アッ＝タヒーヤ (Ṭawāf aṭ-Ṭaḥīyah): マスジド・ハラームに入った際の儀式です。
• - タワーフ・アル＝ウムラ (Ṭawāf al-Umrah): ウムラの際に実施するタワーフです。
• - タワーフ・アル＝ワダー (Ṭawāf al-Wadā'): メッカを出発する際に行う儀式です。
• - タワーフ・アッ＝ジヤーラ (Ṭawāf az-Ziyyārah)、タワーフ・アル＝イファーダ (Ṭawāf al-Ifāḍah)、タワーフ・アル＝ハッジ (Ṭawāf al-Ḥajj): 各儀式の後に行われるタワーフです。

歴史的背景

タワーフの周回儀礼は、歴史的にさまざまな文化や宗教で存在していました。例えば、ヘブライ語聖書の詩篇においても、神に奉納するために祭壇をめぐる行為が記されています。また、イスラームの発展前のアラブ社会でも、神聖な場を巡る儀式が実施されていたことが確認されています。これにより、イスラームのタワーフが先イスラーム時代の習俗をある程度取り入れていることが考えられています。

また、プロフェットであるムハンマドはメッカを征服した際、カアバを周回する模範を示しました。この際に示された規範が、現在のタワーフに引き継がれています。タワーフは、単なる身体的活動ではなく、信仰と絆を深める重要な儀式としての役割を果たしています。

まとめ

タワーフは、信者にとって神に近づくための重要な儀式です。信徒たちが1つになってカアバを囲む姿は、信仰の強さを象徴しており、ハッジやウムラの際に欠かせない重要な活動です。この儀式を通じて、信者は心を込めて神に祈りを捧げ、そして互いの絆を再確認することができます。

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