ヘブライ語聖書

ヘブライ語聖書（タナハ）について

ヘブライ語聖書（ヘブライごせいしょ）、またはタナハ（תַּנַ"ך）は、ユダヤ教における最も重要な聖典です。これはキリスト教で言うところの「旧約[[聖書]]」の原典であり、内容の多くは共通していますが、解釈や収載順序に違いが見られます。ユダヤ教徒はキリスト教の「新約[[聖書]]」を認めないため、「旧約[[聖書]]」という呼称は使用しません。

名称について

「ヘブライ語聖書」は、聖書ヘブライ語で記述されたユダヤ教の正典を指します。タナハとは、律法（トーラー）、預言者（ネビーイーム）、諸書（クトビーム）という三つの区分をまとめた頭字語です。元来、これらの書物は巻物の形（セーフェルー・トーラー）で伝えられてきました。

旧約[[聖書]]との違い

キリスト教における「旧約[[聖書]]」は、ユダヤ教の聖典をベースとしていますが、両者の間には重要な違いがあります。特に、キリスト教徒が新約[[聖書]]を正典として認める一方、ユダヤ教徒はそれを認めません。そのため、ユダヤ教徒は「旧約」という言葉を使いません。

正典の確定

紀元90年頃、ヤブネで行われたヤムニア会議において、エステル記を含む39の書物がユダヤ教の正典として確定されました。この会議は、ユダヤ教の教義と聖典を確立する上で重要な役割を果たしました。

三つの区分

ヘブライ語聖書は、以下の三つの主要な区分から構成されています。

1. 律法（トーラー）: 五つの書物から成り、創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記が含まれます。「五書」または「モーセ五書」とも呼ばれます。
2. 預言者（ネビーイーム）: 8つの書物から成り、前預言者（ヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記）と後預言者（イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、十二小預言書）に分けられます。
3. 諸書（クトビーム）: 11の書物から成り、詩篇、箴言、ヨブ記などの「真理」、雅歌、ルツ記、哀歌、伝道者の書、エステル記の「巻物」、およびダニエル書、エズラ記-ネヘミヤ記、歴代誌が含まれます。

これらの書物を合計すると、律法、預言者、諸書の順に5+8+11で24巻、または39書と数えられることがあります。39書と数える際は、エズラ記とネヘミヤ記を別々に数え、サムエル記、列王記、歴代誌をそれぞれ2つの書物と数えます。

成文トーラーと口伝トーラー

律法（トーラー）またはタナハ全体は、文字で記された「成文トーラー」と呼ばれます。これに対し、当初は口頭で伝えられていた「口伝トーラー」があり、この二つを合わせて「二重のトーラー」と表現することもあります。

古書・写本

現存する最も古いヘブライ語聖書の写本としては、10世紀初頭に作成された「アレッポ写本」が知られていますが、全体の1/4が欠損しています。一方、「サスーン写本」はほぼ完全な形で現存しており、2023年のオークションでは3810万ドルという高値で落札されました。

ビブリア・ヘブライカ

ビブリア・ヘブライカは、ヘブライ語聖書の標準的な校訂版であり、世界中で広く使用されています。この校訂版は、写本研究の成果に基づき、より正確なテキストを提供するように努めています。

まとめ

ヘブライ語聖書（タナハ）は、ユダヤ教徒にとって信仰と生活の基盤となる重要な聖典です。キリスト教の旧約[[聖書]]の原典でありながらも、その解釈や構成には独自の側面があり、ユダヤ教の歴史と文化を理解する上で欠かせないものです。

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