タンジマート

タンジマート (Tanzimat)

タンジマートとは、オスマン帝国が19世紀の間に行った一連の近代化政策を指し、特に1839年から1876年にかけて実施されました。この改革運動は、軍事、政治、法律、教育など多岐にわたるものであり、多民族国家へと変革する重要なステップとなりました。

歴史的背景

オスマン帝国は18世紀以降、露土戦争などの連続的な敗北によってその軍事力と政治機構の劣位を認識せざるを得なくなりました。さらに、国内では有力な「アーヤーン」（地方名士）の権力が強化され、中央政府の統制が弱まっていました。このような状況を受けて、より強固な中央集権体制を確立し、帝国を再生させるための改革が求められました。

マフムト2世の改革

この改革の基礎は、1808年に即位したマフムト2世によるものでした。彼はイェニチェリ軍団を廃止し、西欧式の軍隊を編成するとともに、中央政府の機構を近代化し、教育機関や軍の司令部を整備しました。1839年、彼の後を継いだアブデュルメジト1世は、改革の大規模なスタートを切るギュルハネ勅令を発布し、行政や法律において西欧的な体制への移行を公式に宣言しました。

ギュルハネ勅令とその後の改革

ギュルハネ勅令は、法の下での平等や帝国会議の設置を強調し、かつてのイスラーム法に基づく不平等な扱いを是正するものでした。これにより、オスマン帝国の国民たちはすべての鼓動において平等に扱われることになり、法の支配が徐々に確立されていきました。

その後、クリミア戦争の影響を受けて1856年には改革勅令が発表され、非ムスリムの権利が大きく拡充されました。この一連の改革には、教育制度の整備や新たな法律の制定が含まれており、近代的な要素を取り入れた新しい法律体系が構築されていきました。

経済と社会への影響

タンジマートは経済面でも影響が大きく、外国資本の導入が進み、銀行設立や公共事業が行われましたが、これが帝国の外債依存を深め、経済的な困難を招くことになります。その後の改革では、農業のモノカルチャー化や外債への依存が進み、結局オスマン帝国は半植民地化の道を辿ることになりました。

最後の成果と憲法の制定

1876年、ミドハト憲法の公布により、オスマン帝国は初の憲法を持つことになりました。この憲法は西欧式の立憲制度を導入し、議会の設置や法律による統治を明示しましたが、政治の混乱や戦争による影響で1878年にはその施行が停止されました。

結論

タンジマートはオスマン帝国の歴史において重要な改革の時代であり、近代国家へ移行するための第一歩でしたが、外的要因や内部の抵抗により、その成功は限られたものでした。しかし、ミドハト憲法をはじめとする成果は、後のトルコ共和国や周辺国の近代化においても影響を与え続けています。

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