ダイイング・アース (ジャンル)

ダイイング・アース（Dying Earth）

ダイイング・アースとは、サイエンス・フィクションやサイエンス・ファンタジーのカテゴリーに属し、地球が終息に向かう「遠未来の地球」を舞台に描かれる作品群を指します。このジャンルは、資源が枯渇し、人類の文明が崩壊しつつある世界を描写しながらも、復活の希望や再生の可能性をも模索します。

概要

ダイイング・アースは「終末もの」の一サブジャンルですが、一般的に壊滅的な破壊が描かれることは少なく、むしろ地球のエントロピー的な消耗、すなわち長い時間をかけて徐々に衰退していく状況が特色です。このジャンルの初期の表現には、ロマン主義の影響が色濃く残っており、最初の作品の一つであるJean-Baptiste Cousin de Grainvilleの『Le Dernier Homme』（1805年）では、地球が完全に不毛と化した未来が描かれています。

詩人バイロンによる1816年の詩『Darkness』は、死んだ太陽の下での地球での絶望的な状況を描写しています。また、19世紀末にはカミーユ・フラマリオンの『La Fin du Monde』（1893年）があり、彗星衝突による文明の衰退と歴史の繰り返しを語っています。このようなテーマは、H・G・ウェルズの『タイム・マシン』（1895年）にも見られ、物語の中で時を超えた旅行者が死にかけの地球を目撃し、話の種として語るシーンが描かれています。

20世紀初頭には、ウィリアム・H・ホジスンが『異次元を覗く家』（1908年）や『ナイトランド』（1912年）を通じて、このテーマをよりも重層的に探求しました。彼の作品では、未来の地球で生命が死に絶えた後の風景が生々しく描かれました。クラーク・アシュトン・スミスはさらに進んで、遠未来の地球の大陸ゾティークを舞台にした一連の作品を発表しました。

影響と関連作品

後の作品に大きな影響を与えたダイイング・アースは、特にジャック・ヴァンスの『終末期の赤い地球』（1950年）という短編集からこのサブジャンルの名称が付けられました。彼の影響を受けた作品には、H・P・ラヴクラフトとR・H・バーロウの『すべての海が』（1935年）や、アーサー・C・クラークの『都市と星』（1956年）、さらにフィリップ・ホセ・ファーマーの『Dark Is the Sun』（1979年）などが存在します。これらの作品は、未来の衰退した地球や宇宙における人類の行く末を多様な視点で描いています。

また、近年では宮崎駿の『風の谷のナウシカ』（1982-1994年）や、つくみずの『少女終末旅行』などが挙げられ、絶望的な環境下でも生き続ける人間とその連帯感を描写しています。

結論

ダイイング・アースは、ただ地球の終焉を描くのではなく、そこに息づく人間のストーリーを掘り下げることで、未来を考えさせる作品群として、文学の一部として確固たる地位を築いています。このジャンルは、未来に対する不安や希望、そして人類の進化に対する深い洞察を提供しており、私たちの現代社会にも様々なメッセージをもたらしています。

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